お盆は何をすればいい?仏教における由来から徹底解説します

2023.08.10

お盆は何をすればいい?仏教における由来から徹底解説します

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日本の夏の代表的な伝統行事といえば「お盆」。先祖の御霊がこの世に帰ってくるといわれ、代々の先祖をお迎えし供養する風習として知られているお盆ですが、その由来やそもそもは何をする行事なのかということについて、詳しく知らない方も少なくないのではないでしょうか。 そこで今回は、日本の「お盆」をテーマに、お盆とは何をする行事なのか、仏教における由来や地域による風習の違いなどについて解説していきます。

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お盆とは

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お盆とは、日本において毎年夏に行われる、先祖の霊を供養する行事のことです。日本では「お盆休み」といって、お盆になると仕事を休んで実家に帰省し、祖先の霊を迎え祀る慣習があります。仕事のスケジュールにも大きく関わる行事であることから、日本人なら誰もが知る伝統行事として定着しているといえるでしょう。 かつては太陰暦(旧暦)7月15日を中心として行われていましたが、現代では明治期より採用された太陽暦(新暦)の7月15日ではなく、8月15日に後ろ倒しで行われている地域がほとんどとなっています。(これを「月遅れ盆」と呼びます)農耕社会であった日本では、新暦の7月15日に合わせると、明治期当時の農繁期(農業にとって忙しい時期)と重なってしまい、都合が悪かったためです。なお、旧暦7月15日は新暦の8月15日に該当し、時期として農繁期がひと段落つく頃合いであったため、丁度良かったのでした。

お盆の仏教における由来とは

そもそもお盆とは、日本古来の祖霊信仰と、中国から伝わった仏教の儀式が融合した行事です。「お盆」の名前は、元々中国の仏教において行われていた「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という行事に由来します。盂蘭盆会は、中国の祖先祭祀の風習に、仏教における追福(死者の冥福を祈ること・追善ともいう)の思想が合わさって出来た行事です。 中国における盂蘭盆会は、僧侶が集団で修業を行う「安居(あんご)」が明ける日(解夏)である旧暦7月15日に、仏教の僧侶に施食(食事を与えること)し、父母や先祖に対し供養を行うことによって、餓鬼の苦しみから逃れ、延命長寿の功徳を得られるとした行事でした。父母や先祖を大切に敬う性格から、中国の儒教思想の性格も色濃いことがわかります。 日本においては、この盂蘭盆会が更に祖霊信仰的性格を強めたような形にアレンジされました。日本では、死者は葬儀の後、初七日・四十九日の法要により供養されたのち、地域によって差があるものの概ね三十三回忌~五十回忌を迎えると、「弔い上げ」により仏教的な概念を離れ、個々の霊から「祖霊(代々のご先祖様の御霊)」という単一存在に合一されます。祖霊になると、死の穢れを浄化され清められた守護霊として代々家の繁栄を守るとされてきました。 そうした祖霊信仰の考え方に沿って、日本の盂蘭盆会は、精霊会(しょうりょうえ)・魂祭(たままつり)などと名前を変え、ないしは「盂蘭盆会」から1文字とって「お盆」と呼ばれ、これがそのまま現在の「お盆」の由来となっています。

お盆とは何をするもの?

お盆は、地域により風習が異なることで知られていますが、一般的には何をするものなのでしょうか。結論から申し上げますと、「家族が地元に集まり、先祖の供養にかかわる様々な行事や風習を行う」という答えになります。 最も一般的なのは、お盆の期間を8月13日~16日に定める月遅れ盆で、13日の「迎え盆」に迎え火を焚いて先祖の霊をお迎えし、16日の「送り盆」に送り火を焚いて先祖の霊を送り出すといったものです。 古来のやり方では、迎え盆の前にまず先祖代々の墓や仏壇・神棚を掃除し、盆に使う花を摘むことから盆が始まります。そして、迎え盆には早く先祖の霊が帰ってこれるようにと、精霊棚(盆棚)を設け、キュウリをお供えし爪楊枝で足をつけて「馬」を象る「精霊馬(しょうりょううま)」を飾るのが一般的です。 14日と15日は「盆中」ということで、普段離れて暮らす家族がお盆休みを取って地元に一堂に会します。盆中には、ご先祖様にお供え物をしたり、先祖の墓参りに行ったり、様々な形で祖霊を供養します。この世にいる私たちのこうした供養が、先祖の霊をより浄化し、極楽へと導くといわれているからです。そして送り盆にあたる16日に、今度は先祖の霊にゆっくり帰っていただくために、茄子に爪楊枝をさし「牛」を象ったものを飾り、送り火を焚いて送り出します。 現代日本においてお盆とは、先祖の霊(祖霊)だけでなく、故人様の霊もまたこの世に帰ってくる日とされ、特に四十九日法要後の初めてのお盆は「新盆(初盆)」といって、僧侶を呼んで初盆法要を行うなど、より丁重なもてなしを行います。迎え火も、初盆の時は迷わず故人様の霊が帰ってこられるよう白い提灯を用意し、家の前に高い柱を立てて「高提灯」で迎え入れます。

お盆は地域による風習の違いがある?地域ごとに異なる様々な盆とは

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お盆は、先述の通り地域によって様々な風習があります。大きく分けると、地域によって「時期の違い」と「風習の内容の違い」の2つがあり、具体的には以下のような違いがあります。

◆地域によるお盆の時期の違い

先程、新暦7月15日では明治期当時の農繁期にぶつかるために、新暦8月15日を中心とする8月13日~16日に「月遅れ盆」を行っているところがほとんど、と書きました。しかし、実は地域によってお盆が行われる時期は異なるのです。 たとえば、東京の下町や横浜・函館・静岡・金沢旧市街地など一部の地域では、農業をメインに行っておらず日常生活に支障がなかったため、新暦導入時より新暦の7月15日を中心にお盆を行っています。新暦7月に盆を行うことから、俗に「七月盆」とも呼ばれます。 また、沖縄や鹿児島県奄美地方では、現代でも旧暦7月13日~15日にお盆が行われており、旧暦によってお盆の時期が決まっているため毎年お盆の日付が変動しています。2021年のカレンダーでは、8月20日~22日にあたり、期間も通常の4日間より短い3日間となっています。なお、時期によっては新暦9月になる場合もあることから「九月盆」とも呼ばれます。 しかし、東京など全国各地から人が集まる大都市部で、地元では七月盆を採用している場合でも、日本全国の多くの地域が8月15日前後の「月遅れ盆」を採用していることから、企業のお盆休みはこの月遅れ盆の期間に合わせて設定されることが多いです。

◆地域によるお盆の風習の違い

お盆の風習も、地域によっては独自の内容のものがあります。 最も一般的な風習は先述の通り、月遅れ盆に迎え火で始まり送り火で終わるというものですが、地域によっては送り火の際、海や川にお供え物や灯篭を大々的に流す「灯篭流し」や「精霊流し」と呼ばれる風習を行うところがあり、シンガーソングライターのさだまさしさんの曲名にもなっています。 また、京都五山の夏の風物詩である送り火もお盆の行事ですし、東京都千代田区の靖国神社で行われる「みたままつり」も、東京ならではの「七月盆」にあわせて行われ、大小様々な提灯や著名人直筆の懸雪洞が境内を彩ります。全国各地でお祭りと並行して行われる「盆踊り」も盆の行事で、開催場所によってスケジュールはばらばらですが、概ね7月~9月の時期に行われます。 なお、月遅れ盆を行っている地域の中には、「迎え盆」の際に「迎え提灯」をもって墓前へ行き、墓前で迎え火を焚いたのち、先祖の霊を自宅に案内するために火を焚いた迎え提灯を持って家に帰るという風習が残っている場所もあります。東北地方の一部地域では、お盆の時期に子供に現金を渡すお年玉ならぬ「お盆玉」という風習があるところもあります。

まとめ

以上、日本の「お盆」をテーマに、お盆の由来や起源、地域による開催時期や風習の違いなど、色々な視点から掘り下げて解説しました。 代々の先祖の霊や、亡くなられた故人様の霊をお迎えし、供養して再び送り出すお盆の風習は、日本の夏の情趣を感じさせる様々な行事の元ともなっており、まさに日本の夏の風物詩といえるものです。 ハロウィンやクリスマスなど様々なイベントが雑多に行われ、伝統行事が軽視されつつある現代日本において、今も重要視されているお盆。今年の夏は、改めてお盆の風習の本来の意味を思い出し、日本ならではの趣深いお盆休みを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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