故人様のお見送りに必要な儀式を一日で済ませられる「一日葬」が人気です。一日葬では、葬式の簡略化によって大幅に短い時間で葬式を終わらせますが、一日葬を行う場合「喪主挨拶は必要なのか」疑問に思っている方も多いはずです。 喪主挨拶は、生前の故人様への厚意に対する感謝を、家族を代表する喪主が故人様に代わって参列者にお礼申し上げるものです。そのため、一日葬であっても喪主挨拶は行うべきですが、一日葬の場合の喪主挨拶は通常と比べて何か内容は変わるのか、どういった挨拶をするべきなのか、不安や迷いを抱えている方もいらっしゃるでしょう。 今回は、「一日葬の場合の喪主挨拶」をメインテーマに解説していきます。挨拶文を作る際の文章の作り方のポイントや、今すぐ使える喪主挨拶の例文も紹介しますので、一日葬を控えている喪主の方はぜひ参考にしてください。
喪主挨拶とは
「喪主挨拶」とは、葬儀を取り仕切る喪主が、故人様の葬式に参列してくれた方々に対して、改めて故人様の死に関する報告も兼ね、生前のご厚意へのお礼と感謝を込めて行う挨拶です。 喪主とは、葬式の事前打ち合わせから葬式全般の取りまとめ、僧侶・弔問客の対応などの一切を取り仕切る役目を担う人で、通常は故人様の家族が担います。大体は、故人様の配偶者や子息が喪主を務めるのが一般的です。 二日葬(通夜を含めて2日かけて行う通常通りの葬式)の場合の喪主挨拶は、告別式の最後、出棺の直前のタイミングで行うのが通例となっています。
一日葬でも喪主挨拶はやるべき?
結論から申し上げますと、一日葬でも、喪主挨拶は行うべきです。 先ほども説明した通り、喪主挨拶は、故人様を見送ってくれる方への喪主からの感謝の気持ちを表すものです。たとえ葬式を簡略化している一日葬であっても、参列者が故人様のためにご足労をかけ参列してくれた事実は変わりませんから、喪主として挨拶は欠かせません。 なお、一日葬の場合でも、告別式と出棺は通常通り行います。そのため、喪主挨拶のタイミングも二日葬と変わりありません。二日葬と同じく「告別式後、出棺の直前」に行うことになります。
【一日葬の場合】喪主挨拶文を作る際のポイント
それでは、喪主挨拶文を考えるにあたって、意識するべきことはあるのでしょうか。 一日葬は通常の二日葬とは事情が異なることもあって、以下の通り、一日葬の喪主挨拶ならではのポイントがあります。
簡潔に、長くなりすぎないようにする
一日葬での喪主挨拶は、簡潔で構いません。とにかく、長くなりすぎないように挨拶文を作るのが適切とされます。 一日葬は、「必要な儀式を一日で終わらせる」ものですので、式の進行はスムーズに行うのが第一。故人様との別れの場を惜しむという感情は周囲にも理解してもらえるでしょうが、一日しか時間がない中では挨拶が長すぎるのも考えものです。 とはいえ、短すぎるのもそっけない印象を与えてしまいます。一日葬の場合は、長くても2、3分程度におさめるとちょうど良いでしょう。
喪主挨拶の基本的な内容を意識する
喪主挨拶には基本として「述べるべき内容」があり、それを基軸に簡潔にまとめるのが最適といわれています。喪主挨拶で述べるべき内容は以下の通りです。 ● 自己紹介と続柄(故人様との関係性) ● 参列してくれたことへのお礼 ● 生前の故人様がお世話になったことに対するお礼と感謝 ● 生前の故人様に関する事柄(人柄、仕事、思い出など) ● (必要があれば)どのような原因で亡くなったのかを簡潔に報告(病名など) ● 葬儀後も参列者と遺族の縁が続くよう願う言葉で締める
葬式で使ってはいけない言葉を避ける
「忌み言葉」や「続き言葉」など、「葬式で使ってはいけない言葉」というものがあります。 また、仏式・キリスト教式・神式といったように宗教・宗派によって死に対する認識や思想が異なるため、宗教によって使ってはいけない言葉もあります。(例:仏式では「天国」を使わない、キリスト教式や神式では「成仏」「冥福」「供養」を使わないなど) 「言霊」というように、日本は古来より言葉を大事に扱う文化があり、発せられる言葉が現実になる、あるいは言葉の内容が未来の出来事に影響すると考えられてきました。特に葬式の場では、縁起が悪い言葉や不幸を連想させるような言葉を使わない風習が根付いています。 そのため、喪主挨拶文を考える際には、できる限りこうした言葉を使わないよう、気を配ることが適切とされるのです。葬式で使ってはいけない言葉について詳しくは以下の記事を参照ください。
おくりびとのコラム
【例文あり】通夜の喪主挨拶は何を話す?NGポイントについても解説
喪主挨拶文の例文
それでは、今からでも使える一日葬の喪主挨拶文の例文を紹介します。
例文1
「(遺族を代表しまして、皆様に一言ご挨拶申し上げます。) 本日はお忙しい中、父〇〇の葬儀にご参列を賜りまして、誠にありがとうございました。〇〇も喜んでいることと存じます。 父に対し賜りました皆様からのご厚誼、ご厚情に感謝申し上げます。私たち家族も、父の分まで頑張っていく所存ですので、皆様におかれましては、今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻をいただければ幸いです。 本日は誠にありがとうございました。」
例文2
「(遺族を代表しまして、皆様に一言ご挨拶申し上げます。) 本日はお忙しい中、父○○の葬儀にご会葬くださり、誠にありがとうございます。(故〇〇の長男に当たります〇〇と申します。)短い時間ではございましたが、多くの皆様にご参列をいただき、〇〇も喜んでいることと思います。 父は数年前に〇〇を患い、ここ1年ほどは入退院を繰り返していましたが、〇月〇日に容体が急変、家族が見守る中で〇歳の生涯を終えました。 父は多くの趣味を持ち、定年後はカメラや将棋などに熱心に取り組んでいました。晩年は病のため外に出向いての趣味活動を控えていましたが、それでも父がずっと笑顔を保っていられたのは、ともに趣味を楽しみ、晩年も交流を育んでくださった皆様のご厚情の賜物です。父に対し皆様から賜ったご厚情に、深く御礼と感謝を申し上げます。 私たち家族も、前を向き、父のように人生を笑顔で過ごしていけるよう頑張っていく所存です。皆様方におかれましては、今後とも変わらぬご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。本日はありがとうございました。」
例文1は簡潔に最低限の内容だけを述べた挨拶の例で、例文2はより詳細に踏み込んだ内容を盛り込んだ挨拶の例となります。一日葬の場合は時間が限られていますので、それぞれのパターンを用意しておき、状況に応じて使い分けることをおすすめします。 また、通夜をせず一日しかないことに不便や不満を感じる参列者もいらっしゃるかもしれませんので、都合をつけて参列してくれた感謝に関しては必ず述べるようにしましょう。
まとめ
以上、「一日葬の場合の喪主挨拶」について解説しました。 一日葬でも、喪主挨拶は必要です。ただし、一日葬の場合、時間が限られていることが多いので、時間の許す範囲で丁寧に喪主挨拶をしましょう。故人様の見送りを取り仕切る喪主として立派な挨拶になるよう、本記事の例文や内部リンクの記事も参考にしていただけば幸いです。 少しでも気になることがございましたらお気軽にご相談ください。