時代の変化に伴って葬式の多様化が進む中、「一日葬」を選ぶ人の割合が増えています。 一日葬は、通常2日で行われる葬式を簡略化し、必要な儀式を1日で済ませるもので、現代人のスケジュール感に合った新たな葬式の1つです。一日葬は、統計からみても、年々実施割合が増えていますが、感染症に対する意識が高まってからは特にニーズを増やしています。 今回は、「一日葬の増加」をテーマにして「一日葬の増加の背景には何があるのか」を紐解いていきます。人気が上がっている一日葬を安く行うにはどうすればいいのかも含めて解説しますので、できる限り簡単に予算的にも安く一日葬を行いたい方も是非参考にしてみてください。
一日葬とは
一日葬とは、近年生まれた新たな葬式の形式の1つで、簡単に言うと「通夜式等を省略することで、葬式を一日で済ませる」形式のものを指します。 今でも多くの割合を占めているのは「二日葬」で、これは「1日目の夜に通夜式を行い、2日目に葬儀・告別式と出棺・火葬を行う」ものです。二日葬は従来、最も一般的であった葬式のスタイルですが、地域によってはこの二日葬に引けを取らないくらい、小規模葬の割合が増加しています。
一日葬の割合はどのくらい増加しているのか?
2020年に行われた、株式会社鎌倉新書の「第4回お葬式に関する全国調査」では、一日葬の実施割合は5.2%でした。一般葬が48.9%であることを考えると極めて少数派ですが、2015年に行われた第2回調査では3.9%、2017年に行われた第3回調査では4.4%であったことから、その実施割合は少しずつではありますが確実に増加傾向にあります。 このように実施割合は近年増加傾向にありますが、一方感染症の流行を防ぐ目的でも一日葬のニーズや関心が飛躍的に高まってきています。
一日葬の増加の背景
この一日葬の増加の背景には、時代の変化が大きく関係していると考えられます。 感染症に対する関心が影響していることはありますが、前述の通り、以前から一日葬は増加傾向にありました。つまり、ここでいう時代の変化は感染症云々でなく、もっと多角的な側面にわたっているということです。 現代は昔と違って、家族が地元の一か所に集まらず、遠方にバラバラに住むことが増えました。そうした中で、2日間という従来の葬式のスケジュールでは、遠方の親族、特に高齢者の移動や滞在の負担が大きくなります。また、往復の移動や、葬式の諸々の手続きの手間等も加味すると、スケジュールを場合によっては1週間近く空けなければなりません。 現代の日本では、忌引き休暇は配偶者や直接の親子関係でもない限り、せいぜい3日~5日程度しか確保できないのが一般的です。そうした中で儀式に2日取られるというのは、それだけでも大きな負担になります。 そして、従来のように告別式と初七日など複数回に儀式を分けると、更に移動の負担、スケジュール確保の負担が倍増することになるのです。 このように親族にそれぞれの地域での生活があるため、そう何度も集まれない時代になっていることから、一日葬では必要な儀式を一日に集約しています。葬式だけでなく、本来は故人様が亡くなられてから7日目に行われる初七日も、「繰り上げ法要」として告別式ないし火葬の直後に行われることが増えているのです。 以上のような時代にあって、1日ですべての儀式を終えられる一日葬にニーズや関心が集まるのは、ある種必然と言えるかもしれません。 一日葬は、何かと忙しい現代にぴったりな新たな葬式の形として、確実に今後も実施割合が増えていくでしょう。
一日葬を安く行うには?
一日葬は、本来の二日葬で行う通夜を行いません。そのため、通夜で一般的に振る舞われる料理「通夜振る舞い」の費用や、スタッフの人件費を削減できます。 そして、2日にわたって行われる葬式のスケジュールを1日にまとめることで参列者が減り、広い会場を借りる必要がなくなりますので、参列者が少ない分精進落としの費用や式場利用費も相対的に大きく削減できます。 なお、斎場によっては一日葬であったとしても遺体安置の関係上2日分の会場料金が必要になることもあります。もし費用を1日でまとめたい場合には、葬儀・告別式当日の朝に納棺ができるようなスケジュールにするといいでしょう。 斎場や菩提寺の方針で、一日葬のような変則的な葬式自体を受け付けていない場合もあるので注意しましょう。
まとめ
以上、「一日葬の増加」のデータ的な根拠と増加の背景に加えて、一日葬をより安く実施する方法についても解説しました。 一日葬のような小規模葬の増加の背景には色々な要因がありますが、総じて「時代の変化」と呼べるものが大きく関係しています。 記事で説明したように、感染症に対する意識の高まりによって「大人数が集まる葬儀自体を避ける」傾向も色濃く反映されていることも大きいですが、それぞれの親族がバラバラに暮らす、いわゆる核家族化や家父長制の衰退、コミュニケーションの希薄化なども大きく関係しているとも考えられます。 そのため、一日葬は新しい葬式の形として実施割合を増やしていくでしょう。一日葬に興味があり、詳細に話を聞きたい方は、私共「おくりびとのお葬式」にお気軽にご相談ください。