大切な方の死に際して、遺族の方は大きな心痛を抱えます。 それでも役目として、必要な手続きはしっかりと行わなければなりません。初めてのことばかりで、何から始めたらいいのか途方にくれてしまうのではないでしょうか。 今回は、葬儀の手配以外で必要となる届け出などの手続きについて紹介していきたいと思います。
死亡に際して
死亡確認後発行される書類があります。 「死亡診断書」または「死体検案書」です。 死亡診断書・・・病院で亡くなられた場合やかかりつけの医師が死亡を確認した場合に発行する書類となります。 死体検案書・・・死因がはっきりしない場合は、警察による検死が行われ、死亡を証明する書類となります。 ♦これら書類は、その後の様々な手続きで必要になります。5~10枚くらい用意しておくとよいでしょう。(コピーで構いません)
必要手続き一覧
まずは、必要な手続きを見ていきましょう。 葬儀後も様々な手続きがありますので忘れないよう確認しておきましょう。 ♦死亡届の提出 ♦埋火葬許可証の申請 ♦年金受給権者死亡届(厚生年金・共済年金) ♦年金受給権者死亡届(国民年金) ♦健康保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度)の資格喪失届 ♦健康保険(健康保険組合・協会けんぽ)の資格喪失届 ♦保険の資格喪失届 ♦世帯主変更届 ♦雇用保険受給資格者証の返還 ♦故人様の所得税準確定申告・納税
手続きの内容
各種手続きの内容を提出先とともに確認しておきましょう。
死亡届
ご家族がお亡くなりになった場合、「死亡届」の提出が必要です。 ♦届出場所:市区町村役場 ♦期限:7日以内 ♦必要書類:死亡届、医師による死亡診断書(あるいは警察による死体検案書) ♦備考:7日以内とは死亡の事実を知った日からになります。
埋火葬許可申請
「死亡届」の手続き時に合わせて申請をすることが一般的です。 埋火葬許可証がないと火葬そして埋葬ができません。 ♦届出場所:市区町村役場 ♦期限:7日以内 ♦必要書類:埋火葬許可申請書、死亡届
埋火葬許可証は火葬から埋葬までの必要書類 役所で発行された埋火葬許可証を火葬場の管理事務所に提出し、火葬を行います。 ▽ 火葬後、この許可証に火葬場の証明印が押されて返却されます。 ▽ 返却された許可証が、今度はお墓へ遺骨を埋葬する際の許可証になります。
年金受給権者死亡届
年金受給者の方が亡くなると年金を受け取る権利がなくなるため、「受給権者死亡届」の提出が必要です。 期限がありますので注意が必要です。 ♦届出場所:年金事務所・年金相談センター ♦期限:厚生年金・共済年金は10日以内、国民年金は14日以内 ♦必要書類:年金証書、死亡の事実を明らかにできる書類(死亡診断書のコピー等) ※注意点 ♦死亡届を怠り年金が入金されると、あとで返還をしなければなりません。 ♦日本年金機構にマイナンバーが収録されていると、原則「年金受給権者死亡届」が省略できます。
健康保険資格喪失届
健康保険には種類があります。該当する保険により異なりますので確認しておきましょう。 ♦サラリーマンが加入する会社の健康保険組合(協会けんぽ) ♦自営業者が加入する国民健康保険 ♦75歳以上が加入する後期高齢者医療制度 それぞれ該当する機関へ資格喪失届を提出することとなります。
健康保険組合(協会けんぽ) ♦勤務先で手続きをします。
国民年金 ♦届出場所:市区町村役場 ♦期限:14日以内 ♦必要書類:保険証と故人様の死亡の事実がわかる書類(死亡診断者コピー等)
後期高齢者医療制度 ♦届出場所:市区町村役場 ♦期限:14日以内 ♦必要書類:後期高齢者医療被保険者証、後期高齢者医療限度額適用認定証または限度額適用・標準負担額減額認定証(交付を受けている方)
介護保険資格喪失届
65歳以上の方、または40歳以上65歳未満の要介護・要支援認定者が亡くなった場合は、「介護保険資格喪失届」の提出が必要です。 ♦届出場所:市区町村役場 ♦期限:14日以内 ♦必要書類:介護保険被保険者証、介護保険資格喪失届、介護保険負担限度額認定証(交付を受けている方)、保険料過誤状況届出書(還付金が発生する場合)
世帯主変更届
世帯主が死亡した場合は、世帯主変更届を提出して新しい世帯主を届けます。 ♦届出場所:市区町村役場 ♦期限:14日以内 ♦必要書類:住民異動届書、届出人の身分証明書 ※注意点 ♦手続きが必要な場合は、世帯に15歳以上の人が2人以上残っている場合です。 ♦世帯主が死亡して、世帯に残った人が1人だけの場合は不要です。 ♦通常は死亡届と同時に手続きをします。
雇用保険受給資格者証の返還
亡くなった方が雇用保険を受給していた場合は、返還が必要です。 ♦届出場所:故人様が雇用保険を受給していたハローワーク ♦期限:1か月以内 ♦必要書類:雇用保険受給資格者証、故人様の死亡の事実がわかる書類(死亡診断者コピー等)、住民票
所得税準確定申告・納税
所得税は、1月1日から12月31日の1年間の所得金額に対して税額を算出したものです。 年度の途中で死亡した人は、相続人が1月1日から死亡した日までの所得金額から所得税を計算し、申告・納税をしなければなりません。 ♦届出場所:故人様の住所地を管轄する税務署 ♦期限:4か月以内
その他手続き(市区町村役場以外)
市区町村役場等以外で早期に行うべき手続きは次のとおりです。 運転免許証 遺族に返納義務が課せられているわけではありません。しかし紛失により他人に悪用されることを避けるためにも、返納することをおすすめします。 ♦届出場所:警察署、運転免許センター ♦必要書類:運転免許証、死亡診断書コピー、届出人の身分証明書 パスポート 亡くなった方のパスポートは、旅券法19条で「遅滞なく返納しなければならない」とあります。 ♦届出場所:都道府県にあるパスポートセンター ♦必要書類:返納届、死亡診断書コピー等、届出人の身分証明書 ♦備考:有効期間を過ぎているパスポートは返納不要です。 各種会員証 発行会社の問い合せ窓口に連絡をしてください。
遺族が請求できるもの
遺族が請求できるものは次のとおりです。 葬祭費・埋葬料請求 詳しい内容は、加入されている健保にお問い合わせください。 高額医療費の還付申請 1ヶ月の医療費が上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度です。
詳しい内容は、こちらの厚生労働省HPをご覧ください。
各種年金受給申請 「遺族年金」のほか一定の条件を満たしている遺族に給付される年金がありますので確認しておくことをお勧めいたします。
詳しい内容は、こちらの日本年金機構HPをご覧ください。
「おくりびとのお葬式」ができること
手続きについてよくわからないときに寄り添ってくれる葬儀会社は、大変にありがたい存在です。 「おくりびとのお葬式」では葬儀のみならず、今回ご紹介した手続き等に関してもお手伝いさせていただいております。 お気軽にお問い合わせください。 各種補助金などについても解説しておりますので、ご参考ください。
おくりびとのコラム
知っておきたい葬祭補助金について
まとめ
いかがでしたか。 手続きに取り掛かる際はスケジュールを組んで進めていくことをお勧めいたします。葬儀の準備などで手が回らなくなることも起こります。そして万が一、期限が過ぎてしまうとその対応にさらに手間がかかってしまいます。 今回ご紹介した手続きをしっかりと把握して、漏れのないように行いましょう。