葬儀やお別れ会、法事などで「平服で」と言われたことのある人もいるのではないでしょうか。 しかしこの「平服」についてはよくわかっていない……という人も多いものです。 そこでここでは、 ♦そもそも平服とは何か? ♦お別れ会や法事は、平服で出席するのが正解か? ♦葬儀のときはどうする? ♦平服の入手場所 ♦平服のマナー について解説していきます。
平服とは?
「葬儀における平服」とは、一般的に「略喪服」を指します。 そして略喪服とは、 ♦紺色や灰色などのダークスーツ ♦靴やカバンは黒色で、かつ金具を使っていないもの ♦殺生を連想させるもの(蛇皮など)を使用していないもの の条件を満たす服装です。 平服は、一部の特殊な例を除き、「普段着」とは異なります(※ご家族が「いつもの服装、いつもの笑顔で送り出してほしい」などのような希望を出された場合は除く)。
お別れ会や法事は平服なの?
さて、ではこの平服はどのようなシチュエーションで着ることになるのでしょうか? 平服を着るシチュエーションとしては、「お別れ会」があります。 葬儀の世界でのお別れ会とは主に、葬儀の後日に故人を偲ぶ会として開かれるものであり、知人・友人・仕事関係の方々を招いてこのお別れ会が行われることがよくあります。 すべてのお別れ会に言えるわけではありませんが、このお別れ会では「平服で」とされることが多いといえます。 それでは法事の場合はどうでしょうか。 法事の場合も、「平服で」と言われることが多いといえます。この場合も平服で参加します。ちなみに上でもお話した通り、基本的には弔事の場における「平服」は「略喪服」のことではありますが、法事の場合は七回忌以降ならば「地味な服装であるのなら、略喪服でなくても『平服』とする」と考える場合もあります。 ※なお、法事に限ったことではありませんが、「移動はラフな格好で行い、現地についてから着替える」というやり方をとっても問題はありません。
葬儀は平服?
お別れ会や法事の場合は、平服で参列することが多いとお伝えしました。 それでは葬儀の場合はどうなのでしょうか? 葬儀の場合は、遺族・親族は基本的には平服は着用しません。遺族・親族が着用するのは正喪服もしくは準喪服であり、平服にあたる略喪服は着用しないのです。 これは、葬儀の服装における「格」の問題につながっています。 葬儀の場に着る服には「格」があり、故人様と近しい関係にある人ほど格が上の服を着ることになります。そしてその格の高さは、正喪服>準喪服>略喪服(平服)となります。 もっとも故人様と関係が深かった遺族や、遺族に準じる立場の人が平服を着てしまった場合、参列者は服を選べなくなってしまうでしょう。このような事情もあり、原則として遺族・親族は葬儀では平服は用いないのです。 ちなみに参列者の場合は、通夜の場では平服で参列しても良いとされています。また一部の地域では、「通夜に準喪服以上のものを着ていくのは失礼にあたる。亡くなることを予想していたように見えるから」と考える場合もあります。 もっとも、大人であるのなら準喪服を持っていた方が良いでしょう。準喪服は非常に便利なものであり、遺族・親族・弔問客どの立場でも着用することができるものですし、基本的には通夜・葬式告別式のいずれの場合でも着ていくことができるものです。つまり、準喪服を1枚持っていれば、どのような立場でも葬儀に参加することができるのです。
平服はどこで入手できる?
平服の入手は、決して難しくありません。 大きめのショッピングセンターに足を運べば、これを手に入れることができるでしょう。 また通販などでも販売しています。 ただ、上でも述べた通り、平服は使いどころがやや限定されるものです。 そのため、「急に人が亡くなった!」ということで新しく買い求めるのであれば、平服ではなく準喪服の方がよいでしょう。 お別れ会や法事に平服を着ていく場合は、日時が決まった時点で買えばよいからです。葬儀は急に入るものですが、お別れ会や法事は参加するまでにある程度日数があります。そのため、「今すぐに」買うべきは、平服ではなく準喪服だといえます。
平服のマナー
上でも軽く触れましたが、ここからは平服のマナーについて解説していきます。 平服は、一般的な「普段着」とは明確に区別されます。Tシャツやジーンズなどは「平服」にはあたりませんし、これを着ていってはいけません。 また、小物も華美なものは避け、結婚指輪くらいにしておきます。 葬儀などで平服での参列を希望される場合は、ご家族からその意向が示されます。 この意向が示されていない場合は、平服ではなく準喪服で参列するようにしてください。 なお、「平服はTシャツやジーンズのことではない」「略喪服のことである」とはしてきましたが、足腰が悪かったり、妊娠中であったり、面倒をみなければならない人の介護をしていたりする場合は、略喪服ではなくある程度動きやすいかっこうで参加しても問題ありません。 その場合は、「黒を基調とした、地味な服装」ととらえればよいでしょう。しばしば女性のパンツスーツは平服にあたるし原則として避けるべきだと言われますが、現在はパンツスーツでもそれほど問題視されないということも合わせて押さえておくとよいでしょう。
まとめ
弔事の際に着用することもある「平服」は、一般的な意味での「平服」とは大きく異なります。 弔事の場合の平服はあくまで「略喪服」であり、「普段着」とは異なるのです。そのため、「平服で」と書かれていても、普段着での参列は控えましょう。 なお現在は、お別れ会や法事の席で「平服で」と言われることが多いかと思われます。ただし汎用性の高いものと考えると準喪服の方に軍配が上がるので、新しく買うのであれば平服ではなく準喪服の方がよいでしょう。平服は、日時が決まってからでも購入することができます。