葬儀に参列するときのマナーのなかでも、「服装のマナー」は多くの人が気にする部分なのではないでしょうか。 ここではこの「葬儀のときに身に着けるアクセサリー」に焦点をあてて、そのマナーについて解説していきます。
葬儀で着けるアクセサリーの種類
「葬儀のときにはどのようなアクセサリーを着ければいいか?」についての話をする前に、まずは「そもそも葬儀のときにはアクセサリーを着ける必要はない」という大前提を押さえておきましょう。 葬儀の席は、「着飾る席」「ファッションを人に見せる席」ではありません。そのため、アクセサリーを着けなければならない理由はないのです。 下記では「葬儀に着けてもよいアクセサリー」を紹介していきますが、これはあくまで「葬儀のときに着けることが許容されているアクセサリー」の話です。一切着けなくても問題はありませんし、迷ったのならば「着けない」という選択肢を選ぶ方がよいでしょう。 そのうえで、「着けてもよいアクセサリー」を考えていきます。 葬儀のときに着けてもよいとされているアクセサリーは、 ♦ネックレス(女性) ♦イヤリング(女性) ♦結婚指輪(男性・女性) ♦髪の毛をまとめるときに必要とされるヘアアクセサリー(主に女性) の4つだけです。 なお男性の身に着けるアクセサリーとして、「ネクタイピン」と「カフスボタン」が挙げられます。基本的には両方とも着用しないのがベターですが、「受付業務をやる際にネクタイが邪魔になる」などのような場合は、ネクタイピンならば可とされることもあります。 カフスボタンは「装飾」の意味が強く出すぎますから、これは避けましょう。
葬儀で着けるアクセサリーの色
詳しくは後述しますが、葬儀のときに身に着けるアクセサリーの色は、 ♦白 ♦黒 ♦銀(ケースバイケース) ♦茶 ♦紺 の5色だと考えてください。 白は主に真珠の色です。黒は喪の席に相応しい色であるため、基本的にはこの色のアクセサリーが推奨されます。 銀色は、これをメインにしたものではなく、たとえば「イヤリングの金具部分が銀色である」などの場合は許容されます。 ヘアアクセサリーの場合は、茶や紺も許容されます。できれば黒色に近いものを用意するとよいでしょう。
気を付けるべきポイント
ここからは、それぞれのアクセサリーごとの注意点について解説していきます。
♦ネックレス(女性) ネックレスに限ったことではありませんが、葬儀の席の場合は真珠を使ったアクセサリーならば使っても構わないとされています。真珠は黒真珠と白真珠の2つがありますが、どちらも葬儀の席で利用できます。黒真珠は「喪の色」である黒色の粒を持っていますし、白真珠は「涙の玉」を表すとされているからです。 ネックレスは、長すぎないものを選びます。長すぎるものはどうしても華やかな印象になりすぎてしまいます。個々人の首回りによって多少異なりますが、41センチ前後の長さのものが無難でしょう。また、真珠の粒も大きすぎないものを選びます。 葬儀のときに着けるネックレスは、必ず一連のものにします。二連のものは「悲しみが重なる」「不幸が二回起こる」という意味を持つため、葬儀の席では嫌われます。 なお、ネックレスやイヤリングが用いられるのは、洋装のときだけです。和装のときにはこれは用いません
♦イヤリング(女性) ネックレス同様、イヤリングも真珠のものならば許容されます。黒白どちらの真珠でも構いませんが、豪華な飾りがついていたり、大振りだったりするイヤリングは避けましょう。葬儀のときに使うイヤリングは、真珠が1玉だけついたものが望ましいとされています。 現在はネックレスとイヤリングがセットになった葬儀用のアクセサリーセットも売られていますから、これを購入するのもいいかもしれません。
♦結婚指輪(男性・女性) 男性・女性ともに、結婚指輪は着けても構わないとされています。結婚指輪は多くの場合、宝石などがついていない非常にシンプルなものですから、そのまま装着していても問題ありません。(※ほかのアクセサリー同様、「着けなくてはならないもの」ではありません。既婚者であっても、着けなくてもまったく問題はありません)。 なお、葬儀のときに結婚指輪を着けることはOKとされていますが、「婚約指輪」はNGです。
♦髪の毛をまとめるときに必要とされるヘアアクセサリー(主に女性) 髪の毛が長い人は、ヘアアクセサリーで髪の毛をまとめるとよいでしょう。 バレッタやゴム、リボンなどを使い、すっきりとまとめます。ネットつきのバレッタなどを使っても良いものです。ただし、リボンや飾りが大きすぎるものは避けます。 髪の毛をまとめる際は、耳より下に結び目を作るようにします。髪の毛を高い位置で結んでしまうと、どうしても華やかな印象になってしまうからです。 葬儀のときに使うヘアアクセサリーは、ビジューなどの光る素材を採用していないものにします。上でも話したように黒色が望ましいのですが、茶色や紺色でも構いません。
♦ネクタイピン ネクタイピンは基本的には着用しません。どうしても使う場合は、ツヤと光沢を消した真っ黒のものを選ぶのがよいとされています。 また、女性同様、真珠のついたものならば着けていっても構わないとされています。
事前に準備しておきましょう
葬儀のときに使うアクセサリーは、「いつものアクセサリー」とはまったく異なるものです。華美なものを着けていくことはマナー違反ですし、色や飾りについても決まりがあります。そのため、葬儀の席にアクセサリーを着けていきたいのであれば、事前にきちんと準備をしておく必要があります。 なお、上でも述べたように、アクセサリーは「着けなければならないもの」ではありません。準備が整っていなければ、1つのアクセサリーも着けないままで参列してもまったく問題はありません。
まとめ
葬儀は弔事であるため、自分を着飾るためのアクセサリーは必要ありません。 そのため、基本的には「着けない」という選択肢が望ましいといえるでしょう。 どうしても着けていきたいと考える場合は、「真珠を使ったもので、デザインがおとなしく、葬儀の席に相応しいカラーを持ったもの」を選ぶようにしましょう。