「より自分らしい葬儀にしたい」「残していく家族にかかる手間を最小限にしたい」…… このように考える人にとって有力な選択肢となるのが、「葬儀の事前相談」です。 ここでは「事前相談」をキーワードとして、 ♦そもそも葬儀の事前相談とは何か ♦葬儀の事前相談の内容 ♦葬儀の事前相談に行くタイミング ♦葬儀の事前相談のメリット について解説していきます。
葬儀の事前相談とは?
葬儀の事前相談は、「生前に葬儀会社に問い合わせをしたり、実際に訪問したりして、自分自身の相談をすること」をいいます。 この「葬儀の事前相談」は、終活の一環として本人が行う場合もあれば、余命宣告を受けた家族を持つ人が行う場合もあります。ただここでは、前者の「本人が行う葬儀の事前相談」についてのみ取り上げていきます。 葬儀の事前相談でどこまでやるかは、人によって異なります。 いろいろな葬儀会社にあたって相談をして「自分が息を引き取った後に依頼してほしい葬儀会社の指定」を行うところまでだけやる人もいれば、特定の業者を指定したうえでどのようなプランにするかまで指定する人もいます。またさらに進めて、事前に葬儀会社の会員になる人もいるでしょう。 なお、生前の段階で葬儀の事前「契約」までするケースもあります。海外ではこの生前「契約」が広く行われているといわれています。ただ日本の場合は基本的には事前「相談」までにとどまり、生前「契約」にまでいたるケースはそれほど多くはありません。
事前相談の内容
葬儀の事前相談のときに決めるべき内容はいくつかあります。 ただ、本人が相談を行う場合は、 ♦葬儀会社 ♦葬儀にかかる費用と予算 ♦理想的な葬儀のかたち ♦葬儀の場所 などが主な内容となるでしょう。 ♦葬儀会社……葬儀会社は数多くあり、それぞれに「できること」が異なります。そのため、パンフレットを取り寄せるなどして、どの葬儀会社にするかをまず絞る必要があります。なおこだわりの条件がある場合は、電話やメールで「このようなこだわりを持っているが、実現できるか」などのように事前に聞いておくと無駄がありません。 ♦葬儀にかかる費用と予算……現在は昔に比べて、「小さな葬儀」を希望する人が多くなっています。また、「葬儀費用を事前に用意しておきたい」という人も多くいます。このような場合は、事前に葬儀会社と相談して、かかるであろう葬儀費用を算出しておくことが求められます。 「今までも何度も葬儀に行っている」という人であっても、実際にかかっている金額を把握していないことは非常に多いものです。そのような「現実の費用と、認識のずれ」をすり合わせるうえでも、この工程は非常に重要です。 ♦理想的な葬儀のかたち……現在は「自分らしい葬儀」「オリジナリティのある葬儀」を希望する人も多く見られます。また、「家族葬にしたい」「火葬式を希望する」などのような人もいることでしょう。このような願いを叶えるためにも、葬儀の事前相談はおすすめです。 上でも述べた通り、葬儀の事前相談の工程のなかで、「自分が理想とする葬儀を行える葬儀会社」を絞り込めますし、その葬儀会社に正しく細かく希望を伝えることもできます。 ♦葬儀の場所……葬祭ホールは意外なほどにたくさんあります。そのため、葬儀の事前相談で式を挙げたい葬儀の場所を指定しておくと、残された人のとまどいも減らすことができます。 なお葬儀は基本的には故人様が住んでいた土地の葬祭ホールなどで行われますが、「今住んでいるところは沖縄だが、生まれ故郷は愛知県だった。愛知県で葬儀を挙げてもらいたい」などのように県をまたいでの移動が必要になる場合は、葬儀の事前相談をしておくことを強くおすすめします。
事前相談はいつ行くべき?
葬儀の事前相談は、「この日に行かなければならない」という決まりはありません。 ただ、本人が葬儀の事前相談を行う場合は、終活の一環としてこれを行うことが多いと思われます。 また、医師から余命宣告をされたことをきっかけとして、最後の支度として葬儀の事前相談を行う人もいます。 これに関しては「正しいタイミング」はありません。また家族であっても立ち入ることのできない領域の話ですから、自分自身が思い立ったときや決心したときに行うとよいでしょう。
事前相談のメリット
このような性質を持つ葬儀の事前相談ですが、「そもそも葬儀の事前相談を行うことには意味があるのか?」という根源的な疑問を抱いている人もいるかもしれません。 しかし実は葬儀の事前相談は、非常にメリットが大きいものなのです。
葬儀にまつわる不安点や疑問点を解消できて、「葬儀」に対する解像度が上がる
葬儀はほとんどの人にとって、非日常的なものです。またデリケートな分野であるため、不安点や疑問点があってもなかなか人には聞けないと悩む人もいるでしょう。 しかし葬儀の事前相談を行えば、葬儀の専門家である葬儀会社のスタッフが、不満点や疑問点への答えを教えてくれます。また葬儀自体に対する解像度が上がり、「今まで言語化できなかったけれど、自分がやりたかった葬儀はこんな形だったんだ」と気づけるようになります。
自分好みの葬儀を行える
葬儀の事前相談のもっとも大きなメリットは、「自分好みの葬儀が行えること」にあります。 たとえエンディングノートに詳細に葬儀の内容を記していたとしても、葬儀の事前相談をしておかなければ、実際に葬儀を挙げるための打ち合わせをするのは残された家族になります。そのため、どうしても「自分が理想とする葬儀」から外れてしまう可能性も高いのです。 また、「花でいっぱいにしたい」「特定のお店から仕出しをしてほしい」などの希望がある場合は、それに対応する葬儀会社を探したうえで、綿密な打ち合わせをしなければなりません。複雑な条件やこだわりがあるのであれば、葬儀の事前相談はほぼ必須になります。
家族の負担を軽くできる
家族が亡くなった場合、残されたご家族はさまざまなことを短い期間で決めていかなければなりません。 まだ混乱期にあるときに葬儀のやり方を早く決めるように言われて困ってしまう……ということもよくあります。 しかし葬儀の事前相談をしておき、それをエンディングノートに書き留めておくと、「どんな式にするか」をご家族に伝えることができます。ご家族が葬儀を組み立てやすくなりますし、予算も読みやすくなります。 また葬儀会社のなかには、「事前に会員になっておけば、亡くなったときのホールの使用料金を安くする」としているところなどもあります。
まとめ
かつては、「葬儀の事前相談なんて縁起でもない!」という考えが主流でした。 しかし宗教観や死生観が時代とともに変化していき、そのなかで逆に「葬儀の事前相談をしておくことによるメリット」が取り上げられるようになってきました。 葬儀の事前相談をすることによって、旅立っていく運命にある故人様は「最後の最後まで自分らしいと思われる式」を作り上げられますし、残されていく家族の負担も軽減されるでしょう。 ぜひ葬儀の事前相談を行ってくださいね。