不明点や心配事があるなかで葬儀を行ってしまうと、後々まで悔いを引きずることになりかねません。 葬儀はやり直しがきかないものですからなおさらではないでしょうか。そのため、「そのとき」が来るまでの間に、葬儀に関する知識をつけ、不明点を解消しておくことが重要です。 ここではその知識のうちのひとつとして、「葬儀の流れ」を取り上げていきます。
【例あり】葬儀の流れ~葬儀の日程・所要時間
葬儀の流れは、ご家族の考え方や地域性によってある程度異なります。 また、現在は直葬や一日葬といった選択肢もあるため、葬儀の流れもまた多様化しています。 ただここではもっとも一般的と思われる下記の状況を想定して、解説していきます。 ♦亡くなった日は11月21日の午前9時 ♦亡くなった場所は病院 ♦安置場所は自宅で、葬儀を行う場所は葬儀会社の葬祭ホール ♦仏教式 ♦一般葬で、通夜も、葬式・告別式も行う ♦通夜開始時間は18時、葬儀開始時間は10時 ♦火葬の後に繰り上げ初七日法要と精進落としを行う これを前提として解説していきます。
【11月21日】
1.死亡確認~死亡診断書の交付 病院で息を引き取ると、その場で医師による死亡確認~死亡診断書の交付が行われます。 2.葬儀会社に連絡、ご親族に連絡 病院には霊安室がありますが、そこに長く故人様を安置しておくことはできません。そのため、死亡確認が行われた後、速やかに葬儀会社に連絡をしましょう。なお現在の葬儀会社は、弊社を含め、365日24時間対応しています。 また同時進行で、ご親族などにも連絡を入れます。ご家族で手分けして進めるとよいでしょう。 3.病院~自宅へ 葬儀会社は連絡を受けると、速やかに車を回し、病院に迎えに行きます。故人様をこの車にお乗せして自宅にお連れします。 4.自宅に安置 自宅に着いたら、葬儀会社のスタッフによる安置が行われます。通常はこの「故人様をお連れした葬儀会社」にそのまま葬儀を依頼することがほとんどですが、「車の運転が非常に乱暴だった」「暴言を吐かれた」などのような問題点があった場合は、ほかの葬儀会社に切り替えても問題ありません。 5.打ち合わせ ご家族同士、ご家族―葬儀社間で葬儀についての打ち合わせを行います。ある程度予算や葬儀のかたちが決まっていれば迅速に話が進みますが、不明点があればなんでも葬儀会社に聞いてください。
【11月22日】
「〇日までに通夜を行わなければならない」などの決まりはありませんが、亡くなった翌日~遅くても1週間以内に通夜を行うのが一般的です。ここでは翌日に行うものと仮定します。 15時ごろ 葬儀ホールの空き状況やご家族の準備の状況にもよりますが、故人様(お棺)と一緒に通夜の始まる3時間ほど前に現地に到着しておくと安心です(葬儀会社によって多少見解は異なります)。 尚、故人様の搬送に関しては葬儀社にて搬送車を手配してくれます。 16~16時30分ごろ 受付を担当する人が到着するので、ご家族はその人をお迎えします。受付に必要な芳名帳などは葬儀会社が用意するので、原則ご家族が用意する必要はありません。 16時30分~18時ごろ 参列者が徐々に葬祭ホールに集まってきます。参列者の記帳や不祝儀・香典返しの受け渡しは受付の人が行いますが、ご家族は適宜あいさつをするようにします。 17時50分ごろ~18時 参列者は順次葬祭ホールの会場内に入って着席をしていきますが、17時50分~18時に開式のアナウンスが流れます。なおこのアナウンスは葬儀会社(やその提携業者)が行うので、ご家族が行う必要はありません。 18~20時 通夜が始まります。なお通夜にかかる時間は、葬儀の規模によって異なります。小さな一般葬の場合は45分程度、非常に大規模な一般葬や社葬の場合は3時間以上かかることもありますが、おおむね1時間~2時間程度で終わります。 20~22時 控え室などで通夜振る舞いを行います。通夜振る舞いとは、通夜に参列した人に対して飲食物を振る舞い、故人様の思い出話などをする席です。 基本的には1時間程度で終わりますが、長い場合は2時間程度かかります。 22時~ 11月22日の工程終了です。宿泊できる控え室がある葬祭ホールならば、そのままその葬祭ホールに泊まります。なお以前は「寝ずの番」という考え方がありましたが、現在はろうそくも電気式ですので、お休みになっても問題ありません。
【11月23日】
7時半~8時 身支度を整えたり、喪服を着用したりします。 8~8時30分 受付の人を迎えます。受付を開始します。この後の流れは通夜のときと同じで、10時の開始の案内を待ちます。 10~12時 葬式・告別式が行われます。これも、小さい規模のものは45分程度、大規模なものだと3時間程度かかります。 12時 出棺です。出棺後火葬場に移動します。 12~14時 火葬場についたのち、火葬炉の前で故人様と最後のお別れとなる納めの式を行い、火葬炉に棺をお入れします。なおここではこのためにかかる時間を2時間としましたが、火葬場―葬祭ホールの距離によってはもっと短くなります。 14~16時 火葬終了を待って、収骨します。火葬には45分~2時間程度かかります。火葬終了後は火葬場の職員が呼びにきますので、そのまま収骨室に移動、ご遺骨を骨壺に治めます。 16~17時 繰り上げ初七日法要を行う場所(葬祭ホールを再び使用することが多い)に戻ります。 17~18時 繰り上げ初七日法要を行います。 18~20時 精進落としの会食を行い、終われば解散です。
葬儀の日程を決めるポイント
葬儀の日程を決める場合は、 ♦どんな葬儀にするか ♦「絶対に来てほしい人」の日程は空いているか ♦宗教者のスケジュールが確保できるか ♦火葬場のスケジュールが確保できるか を考えていかなければなりません。 ♦どんな葬儀にするか……上では一般的な「2日間に渡る葬儀」を紹介しましたが、火葬炉の前でお別れするするだけの「直葬」や、通夜を行わない「一日葬」もあります。まずはご家族のなかで、どんな葬儀にするかを決定してください。 ♦「絶対に来てほしい人」の日程は空いているか……遠方にいるお子さんや、故人と極めて親しかった友人などの、「どうしても来てほしい人」は、だれの葬儀でも必ずいるものです。その場合は、その人たちの日程と合わせて葬儀の日を決めましょう。特に海外に住んでいる人がいる場合は、この部分の調整が重要になります。 ♦宗教者のスケジュールが確保できるか……菩提寺がある場合は、その菩提寺のご僧侶のスケジュールも考えなければなりません。なおどうしても合わない場合は、お寺に連絡すると、そのお寺から代わりのご僧侶を紹介してもらえます。 ♦火葬場のスケジュールが確保できるか……火葬場の休みは、それぞれの火葬場によって異なります。基本的には1月1日以外はどこかの火葬場が空いているので気にしすぎる必要はありませんが、都心部などでは一度調整が必要になることもあります。
まとめ
葬儀の流れは、どのような葬儀をするかによって多少異なってきます。 しかしおおむね、ここで紹介した流れをとることになるでしょう。 「そのとき」に慌てずに済むように、葬儀の流れを把握しておくことをおすすめします。 ※上記で紹介した「時間」は、かなり余裕を持たせた数字です。実際にはもっと短くなることもあります。