葬儀は人生に一度は参列の機会があるものですが、「葬儀の受付を頼まれる」という経験はあまりないかもしれません。 しかし、年を重ねていくにつれ葬儀の機会が増えると、葬儀の受付を頼まれる可能性も高くなっていくでしょう。 もし葬儀の受付を頼まれたら、一般の参列者としての立場ではなく、ご遺族をサポートする側に回り、うまく立ち回る必要があります。 とはいえ、そうそう頻繁にあることでもないですから、葬儀の受付を頼まれた時に何をすればいいのかわからない、という状態にある方も多いはずです。 そこで今回は、葬儀の受付を頼まれた場合にやるべきことや、知っておくべきマナーについて解説していきます。この記事を参考に、いつ葬儀の受付を頼まれても頼りになる存在になれるよう、知識をつけておきましょう。
葬儀の受付の役割
葬儀の受付の仕事は、基本的には葬儀に参列する弔問客への対応が主なものとなります。 具体的には、名前を記帳してもらい、香典を預かることが主な仕事です。 しかし、葬儀の受付はいわば葬儀全体の表立った窓口として存在するものでもあります。デパートでいう、総合インフォメーションのような役割といってもいいでしょう。 そのため、葬儀の式次第や儀式の進行についてもしっかりと把握しておく必要があり、機械的に作業をするだけでは務まりません。 特に大きな規模での葬儀の場合、会場への案内をしたり、会葬礼状・返礼品等のお渡しをしたり、葬儀の時間などに関する質問を受けたりといった様々なことを担当することになります。 そのため、喪主をはじめとするご遺族とは別の役割とはなるものの、葬儀の受付もまた、葬儀全体を取り仕切る立場ともいえます。
葬儀の受付の準備や流れ
それでは、葬儀の受付を頼まれたとき、具体的に行うべきはどういったことなのでしょうか。 ここでは、葬儀受付の準備や対応の流れを確認しましょう。
葬儀開始1時間前までに到着
葬儀というものはその性格上、準備には急を要するものです。 喪主やご遺族もやることは山積みで時間がありません。そのため、葬儀の受付を頼まれたら時間に余裕をもって斎場入りしましょう。 斎場には遅くとも葬儀開始1時間前には到着しておくようにし、到着したらご遺族へ挨拶をし、祭壇の故人様に一礼をします。
受付の準備と役割分担
その後は受付準備です。 受付場所にテーブルや芳名帳・筆記用具・お香典受け・名刺受けなどの設置を行なったり、受付時の役割分担をしたりします。 基本的には香典や名刺を頂き、記帳をしていただく受付対応がメインですが、規模が大きければ会場への案内係や駐車場への車の誘導係も必要になってくるかもしれません。 ご遺族や会場側とも適宜確認を取りながら、開場30分前までを目途に、てきぱきと受付準備を進めましょう。 葬儀会場のレイアウトや、駐車場の動線など大まかな全体図もこの間に頭に入れておくと、対応の幅がぐっと広がります。 また、返礼品や会葬礼状も弔問客へお渡しできるように整理して置いておきましょう。
受付開始前に焼香を済ませる
開場30分前に準備を終えたら、弔問客が来る前に事前に焼香を上げておきましょう。 開場して葬儀の受付が始まってしまえば、うかつにその場を離れることができなくなるからです。 焼香を終えたら、すぐに配置につきましょう。早めに記帳に来る方もいらっしゃいますので、いつでも受付できるようにしておきます。
受付開始
受付では、挨拶をして弔問客を出迎えます。 「本日はお忙しいところお越しいただきましてありがとうございます」といったしっかりとした挨拶でもいいですし、「ありがとうございます」や「ご苦労様です」といった簡易的な挨拶でも構いません。 弔問客が香典を差しだしたら、必ず両手で受け取り一礼し、「お預かりいたします」「ご丁寧にありがとうございます」といったお礼の言葉を述べましょう。 香典を受け取ったあと、弔問客に記帳をお願いします。この時も「恐れ入りますが、お名前・ご住所をご記入いただけますでしょうか」というような言葉を添えます。 記帳をお願いするのは、香典返しを送る際に必要になるからです。 芳名帳の上部に番号を振っておき、受け取った香典袋の裏にその番号を入れ、記帳内容と香典袋を紐づけておくと完璧です。 弔問客が記帳を終えたら、会葬礼状と返礼品を渡します。 これで受付対応は終了ですが、最後に葬儀会場へご案内する配慮も重要です。「告別式はあちらで行いますので、どうぞお進みください」といった言葉を添えましょう。 葬儀の規模が大きい場合は、ここから先の案内は案内係を任された人に引き継ぎます。 弔問客が去ったら、受け取った香典を会計係に渡しましょう。金銭が手元にある状態になりますので、トラブルにならないようしっかり管理するのも受付の務めです。
弔電・供物・供花の受け取りも受付の仕事
なお、受付時には弔問客だけでなく弔電や供物・供花の受け取り対応も並行して行います。 誰からどんなものが届いたかを適宜記帳して残しておき、会場を取り仕切る会場係や葬儀会社のスタッフなどに報告しましょう。
葬儀終了後の片付けや事務引継ぎも重要
受付の仕事は葬儀が終わってからもたくさんあります。 受付ブースの片付けはもちろん、受け取った香典や名刺、弔問客に記帳してもらった芳名帳、届け物に関し記帳したものなどを、世話役や喪主など葬儀を取り仕切る人へ引き継ぎます。 香典や名刺はしっかりと整理しましょう。余った会葬礼状や返礼品も一つにまとめて責任者に渡しましょう。
葬儀の受付は誰がやる?
葬儀の受付は、基本的には故人様ないしご遺族の友人・知人・会社関係者などが担当します。 本来は遺族が担当するのがベストなのですが、ご遺族には故人様を見送るという大切な仕事があり、葬儀の席にも早めについておかねばならず、受付の仕事を最後まで行える立場にありません。 とはいえ、葬儀の受付という重要な役回りですから、全く知らない他人に任せるわけにもいきません。 そのため、故人様と生前親交のあった友人知人など「近しい他人」が受付担当として選ばれやすいのです。なお、故人様のみならずご遺族とも家族ぐるみで付き合いがある方であれば尚、信頼されて選ばれやすいでしょう。 ※葬儀社によっては専門の受付人員を派遣してくれる場合があります。
葬儀の受付をする際のマナー
いざ葬儀の受付を頼まれたら、その瞬間から「葬儀会場の顔」としてふさわしい振る舞いをあらかじめ調べ勉強し、当日ご遺族に迷惑や恥をかかせないよう、うまく立ち回らなければなりません。 特に葬儀という厳かな場では、作法やマナーといったものが極めて重要視されます。ここでは、葬儀の受付をする際のマナーについて解説します。
葬儀の受付を依頼されたら出来る限り断らないようにする
まず、葬儀の受付を依頼されたら、なるべく断らないというのもマナーの一つです。 特に故人様のご遺族から直々に依頼があった場合、ご遺族はやることは山積みで悲しみを押し殺して必死で動いている最中です。 依頼された方が断ると、また別の受付担当を探さなければなりません。それはご遺族にとって相当な負担となります。 もちろん、仕事の都合で外国など遠い場所にいるとか、病気で入院しているといった特別な事情がある場合は別ですし、「ベストエフォートで」とはなりますが、 すぐに引き受ける旨を返答すればご遺族もほっとするでしょう。 なお、どうしても受付ができない場合も、引き延ばしにせずなるべく迅速に連絡を入れましょう。
葬儀参列時と同じく葬儀にふさわしい服装をする
葬儀の受付係の服装は、葬儀参列者に準ずると考えておけば間違いありません。 男性はブラックスーツに黒のネクタイ・靴下、黒で飾りのないマットな革靴を用意しましょう。 女性は黒のスーツやワンピース、アンサンブルといったブラックフォーマルを纏うといいでしょう。 忙しく動き回ることを想定して、足元はヒール低めの靴がベストです。
丁寧な言葉遣いと作法を心がける
葬儀の受付の流れでも説明したように、受付には所定の作法があります。 葬儀の受付は急に舞い込んでくるものではありますが、丁寧な所作を心がけ、必要があれば直前でも練習を欠かさないようにしましょう。
まとめ
以上、葬儀の受付を頼まれたらどういった準備をして、どういった仕事をするのかといったことを中心に解説しました。 葬儀の受付は急に頼まれることが多いものですが、葬儀の顔と言ってもよい大変重要な仕事です。 それゆえにやりがいもありますし、ご遺族にも大きく感謝されるすばらしい役目でもあります。 葬儀の際、受付に際し不安なことがございましたら、私共「おくりびとのお葬式」にお気軽にお問い合わせください。