故人様の死を悼み、最後のお別れをする葬儀の際には、たくさんの人の協力が必要です。 葬儀の際には、葬儀社のスタッフや受付などの手伝いを行ってくれた人に対して、ねぎらいの気持ちやお礼の気持ちを込めて金品を渡すのが一般的となっています。それが「心づけ」と呼ばれるものです。 しかし、葬儀というのは人生でもそうそう頻繁にあることでもないため、心づけをどのようなタイミングで渡すのかや、金額の目安など、わからないことばかりなのが普通ではないでしょうか。 そこで今回は、葬儀の際にご遺族から手伝ってくれた人たちへ渡す「心づけ」について、渡す相手やタイミング、金額の目安、渡す際のマナーなどを徹底解説します。いざ葬儀の際に協力してもらって何も渡さないわけにはいきませんから、もしもの時のために知識をつけておきましょう。
心づけとは
「心づけ」とは、葬儀をつつがなく進行するための準備や、実際の進行に際して働いてくれた方に対してお礼の気持ちを込めて渡す金品(一般的には現金)のことです。 葬儀というものは、故人様のご遺体の搬送から納棺・通夜式・葬儀告別式、火葬に至るまで、大勢のスタッフや関係者の協力なくしては成り立ちません。それに加えて、ご遺族は葬儀以外の諸手続きなどにも追われますし、葬儀の際には遺族席について故人様の一番近くで見送りをしなければなりません。そのため、すべてをご遺族自身で行うのはほぼ不可能といっていいでしょう。 そのため、葬儀を成り立たせるためにはさまざまな人に手伝ってもらう必要があり、そうした手伝いをしてくれた方々に対しては、お礼をしなければなりません。心づけとは、要するに手伝ってくれたことに対するお礼の気持ちを、お金という形で表したものなのです。
心づけは必ず必要?
先ほど触れたように心づけは気持ちを表すものです。 必ずしも必要になるものではありません。心づけを出さないからといって葬儀社の対応が変わることもないでしょう。 もしも葬儀全般のサービスを受けたときに、非常に感動するようなことがあったり、深く感謝するようなことがあれば、その気持ちに準じて包めばよいでしょう。
心づけを渡す相手・タイミング
心づけは、上述の通り葬儀を成立させるために働いてくれたり、手伝ってくれたりした人たちに対して渡すものです。 それでは、具体的に心づけを渡す相手としてはどういう人たちが想定され、どのようなタイミングで渡すものなのでしょうか。以下に詳しく見ていきましょう。
心づけを渡す相手
心づけを渡す相手は、基本的には「葬儀に際して働いてくれた方」です。 たとえば、葬儀の準備や進行全般を担ってくれる葬儀社のスタッフが代表的です。その他にも、火葬場の係員、霊柩車やご遺族が乗るマイクロバス等の運転手、納棺を専門に行う「納棺士(おくりびと)」など、大勢の人がかかわって初めて葬儀は成立します。そして、心づけも、そうした方々に渡すものです。(なお、公営の火葬場の場合、係員への心付けは原則不要です) そして、特に規模の大きな葬儀の場合には、故人様の友人知人や会社の同僚など、直接の親族ではない方にも受付や案内などを手伝ってもらうのが一般的となっています。そのため、そうしたお手伝いをしてくれた人たちにも、お礼の気持ちを込めて心づけを渡すのが一般的です。
心づけを渡すタイミング
心づけを渡すタイミングは、渡す相手がどんな仕事をしてくれているかで変わります。 葬儀のために働いてくれる人や手伝ってくれる人はいろいろな場所にいて、必ずしも葬儀後に全員が同じ場所に揃うわけではなく、むしろ揃うことはほぼないので、それぞれの仕事に合ったタイミングというものがあります。ここでは、葬儀での仕事内容別に、心づけを渡すタイミングをそれぞれまとめていきます。
♦運転手の場合 葬儀の際には、故人様の遺体搬送(安置場所や火葬場への搬送)やご遺族を載せたマイクロバスなど、運転手を手配するのが一般的であり、そうした運転手にも適したタイミングで心づけを渡します。 タイミングは以下の通りです。 霊柩車の運転手には「葬儀場に霊柩車が到着したとき」に渡す マイクロバスの運転手には「火葬後、ご遺族全員が葬儀場に戻ったとき」に渡す 搬送用の寝台車の運転手には「安置場所や葬儀場に到着したとき」に渡す ♦火葬場のスタッフの場合 火葬場のスタッフにも、心づけを渡すのが一般的です。 火葬場のスタッフには、火葬やお骨上げなど一連の工程を担当する火葬場係員、火葬している間の休憩室への案内や茶菓子の振る舞いなどを担当する休憩室係員などがいます。火葬場のスタッフの役割に応じて、心づけを渡すタイミングは変わりますが、具体的には以下の通りです。 火葬場係員には「火葬場到着後、棺を火葬炉に入れるまでの間」に渡す 休憩室係員には「火葬開始後、火葬が終わるまでの間」に渡す 料理配膳人がいる場合には「食事が終わった後」に渡す ♦葬儀の世話役や受付・案内等を手伝ってくれた人の場合 葬儀の際には、よほど小さな規模の葬儀でもない限り、故人様やご遺族の友人知人やその家族等に手伝いをお願いすることになりますので、そうした人たちへも心づけを渡します。 葬儀の進行を取り仕切る「世話役代表」と呼ばれる人や、受付や誘導、台所周りなど様々な手伝いをしてくれる人たちなどがいますが、こうした方々に対しては「葬儀の翌日もしくは翌々日に、挨拶に伺ったとき」に心づけを渡すのが一般的です。
心づけの金額目安
心づけは、あくまでもお礼の気持ちを示すためのものなので、明確に金額が決められているようなものではありません。 しかし、いくら渡せばいいかわからないといった場合もあるでしょう。ご安心ください、基本的には心づけに関しても一般的な金額の目安といったものはある程度決まっていて、その目安に沿った金額を渡せば問題ありません。心づけは、相手の仕事内容によってある程度の金額の目安がありますので、以下にご紹介していきます。
運転手の場合
運転手の場合の心づけの目安は以下の通りです。 寝台車の場合…2千円~5千円 霊柩車の場合…3千円~5千円 ハイヤーの場合…2千円~3千円 マイクロバスの場合…2千円~3千円
火葬場のスタッフの場合
火葬場のスタッフへの心づけの金額の目安は以下の通りです。 火葬場係員…3千円~5千円 休憩室係員…2千円~3千円 料理配膳人…2千円~3千円
葬儀の世話役や受付・案内等を手伝ってくれた人の場合
葬儀の世話役や手伝ってくれた人たちへの心づけの金額の目安は以下の通りです。 世話役代表…1万円~3万円 世話役…5千円~1万円 手伝い…2千円~3千円
宗教者への心付けの場合
宗教者への心づけの金額の目安は以下の通りです。なお、宗教者への心づけだけは実費基準となるので注意しましょう。 お車代…実費交通費+5千円~1万円 食事代…料理の料金+2千円~3千円
心づけを渡す際のマナー
心づけは仕事の対価としての報酬とは異なり、あくまでもお手伝いいただいたことに対してのお礼の気持ちを込めて渡すものです。 そのため、相手に失礼がないよう、しっかりマナーを守って渡す必要があります。心づけを渡す際のマナーには以下のようなものがあります。 ♦ポチ袋や白無地の封筒などしっかり袋に入れて渡す ♦袋には「志」「御礼」「心付け」といった表書きを記す ♦心づけは直接手渡しする(特に宗教者の場合は直接手渡しが礼儀です) ♦親しい知人やご近所さんなどで現金を渡すと逆に失礼になるような場合には、菓子折りやカタログギフトなどを渡す
まとめ
以上、葬儀における「心づけ」に関して、その意味合いから渡すタイミング、渡す際のマナーまでを網羅的に解説しました。 心づけの意味合いはあくまでも「お礼の気持ち」にあることを意識して、特に宗教者に対しては礼儀を失さないよう注意して、直接手渡しを徹底しましょう。なお、規模が大きな葬儀の場合は関わる人数も多くなるため、葬儀社の担当者や葬儀の世話役にまとめて渡すといった方法でも大丈夫です。 私共「おくりびとのお葬式」では、葬儀に関するさまざまな情報を発信するとともに、さまざまなプランを用意して大切な葬儀をサポートしております。弔事の際にはぜひご相談ください。