高齢化社会が進行する中、核家族化や生活の多様化も手伝い、老人ホームをはじめとする介護施設で老後を過ごす方も増えてきています。 老齢の親や祖父母が老人ホームなどの介護施設に入っている場合、親が介護施設内で最期を迎えるということもあるでしょう。もしそうした施設で家族が亡くなった場合、どのような対応をとればいいのでしょうか。 今回は、故人様が介護施設等で亡くなられた場合、ご遺族・家族・親族がとるべき対応について解説します。葬儀後の手続きについても紹介するので、家族が介護施設に入居されている場合には、いざという時のために参考にしてみてください。
死亡診断について
介護施設に医師など医療スタッフが常駐している場合には、常駐している医師が死亡診断を行います。 常駐していなくとも、提携医療機関や嘱託医師が駆けつけ死亡確認をすることになるのが一般的です。多くの場合、家族が看取れるように亡くなる前に連絡がいきます。ここでは、死亡診断が出るまでの流れを簡単に紹介します。
危篤時に家族へ連絡が行く
介護施設に入居されている方が息を引き取りそうになっている場合、まずは家族へ連絡がいきます。 状況にもよりますが、多くは介護施設のスタッフが、危篤状態になった時点で家族あてに緊急の連絡をしてくれます。家族が看取れる場合には、家族が介護施設に駆け付け、医師や医療スタッフとともに最期を看取ることになります。
臨終後、死亡診断を行う
息を引き取った時点で、医師が死亡確認を行います。死亡確認の流れを簡単に説明すると、以下の通りです。 ♦心肺の拍動や呼吸が止まっていることを確認する ♦脳機能が停止していることを確認する ♦死亡時刻を確認する ♦家族へ死亡宣告を行う 死亡確認・死亡宣告後は、医師から家族へ死亡状況の説明を行い、処置方法の判断を家族とともに行います。その後介護スタッフによりエンゼルケアが実施されます。 なお、必ずしも医師同席の上で亡くなるまでの時を待てるわけではありません。急死や自然死の場合もあるからです。そうした場合、既に死亡していることを医師が確認した時刻が死亡時刻となります。
死亡診断書の発行をしてもらう
医師の死亡診断が終わったら、死亡診断書を発行してもらえるので、受け取りましょう。 医師が発行する死亡診断書には故人様の氏名や生年月日、死亡時刻と死亡場所に加え、死亡状況や原因などの詳細が記載されています。なお、死亡診断書はその後役所へ提出する「死亡届」も兼ねている重要書類なので、間違っても無くさないようにしましょう。
施設で葬儀はできる?
介護施設内で亡くなった場合、介護施設内で葬儀は可能なのでしょうか。 結論から申し上げますと、「施設による」というのが実情です。亡くなった後、そのまま施設で葬儀を実施してくれる施設もありますので、状況や立地などが許せば生前にあらかじめそうした施設を選んでおくのもいいでしょう。 身寄りがない場合には、生前にきちんと取り決めをすることが前提となりますが、その後の役所との手続きや身辺整理から納骨までを代行してくれる施設もあります。
遺体の搬送までの流れ
臨終後、死亡診断やエンゼルケアが終了すると、遺体を安置場所まで搬送しなければなりません。 多くの場合、葬儀社を手配して葬儀社が管理する安置施設や斎場内の安置室へ搬送するか、自宅などに搬送されることになります。故人様の遺体搬送までの流れは、以下の通りです。 ♦葬儀社を手配する(施設から紹介してもらえることもある) ♦葬儀社の担当者あるいは遺体搬送業者に故人様の氏名や施設の場所などを連絡 ♦介護施設内に霊安室があれば、スタッフがストレッチャーなどで遺体を移動させる ♦施設内の他の入居者に配慮し室内の私物など身辺を整理しておく ♦遺体搬送業者や担当者が到着し寝台車へ遺体を乗せ、遺体を安置場所へ搬送 なお、介護施設内で葬儀が可能な場合は、搬送の必要がありません。葬儀も施設内であれば必然的に小規模なものとなり、費用が抑えられるというメリットもあります。
葬儀後の手続き
施設内で葬儀を行うにせよ、施設外の斎場などで葬儀を行うにせよ、自治体等への手続きは必要になります。 身寄りがない場合を除き、基本的にはこうした手続きはご遺族・家族親族が行うこととなります。葬儀後に必要となる手続きの例は以下の通りです。 ♦年金受給権者死亡届の提出(国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内) ♦国民健康保険異動届の提出(14日以内) ♦介護保険資格喪失届の提出(14日以内) ♦世帯主変更届の提出(故人様が世帯主であった場合)(14日以内) ♦免許証やパスポートの返納手続き(すみやかに) ♦公共料金の名義変更や解約の手続き(すみやかに) ♦埋葬費支給申請(2年以内) ♦葬祭費支給申請(2年以内) ♦高額医療費支給申請(2年以内) ♦死亡一時金の請求(要件を満たしている場合のみ)(2年以内) なお、介護施設内で故人様が亡くなった場合、葬儀後の落ち着いたタイミングでもいいので、介護施設へ赴き生前お世話になったお礼をしましょう。なお、この時に形見や遺品といったものがあれば受け取っておきます。 もし財産に関する書類や預貯金を持ち込んでいる場合には、相続税の申告の関係で、亡くなってから10か月以内に受け取らなければならないので気をつけましょう。 死亡後の諸手続きに関する詳細については以下の記事を参照ください。
おくりびとのコラム
死亡届は葬儀社に任せるのが普通?書き方や注意点を紹介
まとめ
以上、介護施設で故人様を看取る際の流れから、葬儀後の手続きまでを一通り解説しました。 多くの場合は斎場での葬儀となるため、遺体搬送以降は非常に慌ただしい流れになるので、身辺整理はなるべく早めに行っておくことが大切です。 施設内で葬儀が行えれば搬送の手間がなくなり、いくらかは楽になるので、そうした施設があれば早いうちに入居を検討しておくといいでしょう。 私共「おくりびとのお葬式」では、家族葬など小規模な葬儀からでも丁寧なサポートを行っています。おくりびとの名の通り、納棺や故人様のご遺体のケアを徹底して行っておりますので、弔事の際はぜひお気軽にご相談ください。