いつまでもあると思うな親と金、という言葉があります。 親は自分が子供の時は勿論、大人になってからも何かと世話をしてくれるものですが、いずれその親も亡くなる時が来ます。 自分がいつ死ぬかわからないのと同じように、親もいつ亡くなるかわかりません。もし親が亡くなってしまったらどのような対応をすればいいのか、というのは早いうちから確認し、調べておくことが大切です。 今回は、親が亡くなってしまったときにするべきことを、手続きや葬儀、相続などあらゆる面から解説していくとともに、注意点も紹介していきます。
親が亡くなったらまずすること
親が亡くなったら、多くの人が少なからず混乱してしまったり、不安に思ったりしてしまうことでしょう。 そうしたときは、「まず何をするべきか」を確認し、少しでも冷静に対応がとれるようにすることが先決です。 通常、親が亡くなる時というのは病気や老衰といったように、病院を舞台にすることが多いでしょう。まずは親が危篤状態となった段階で直接の家族へ連絡が行くので、家族はその連絡を受けて真っ先に親の元へ駆けつけることになります。そして親を看取ることになりますが、今回はその看取った後にするべきことを紹介していきます。 まず、親が亡くなった場合に何よりも先んじて行うべきは、「医師から死亡診断書を受け取る」ことです。死亡診断書は専門家からの明確な死亡確認の証となるもので、自治体へ提出する「死亡届」も兼ねるものです。これがないと何も始まりません。最初はとにかく医師による死亡診断を待って、死亡診断書を発行されたら受けとるということに専念しましょう。
親が亡くなった当日にすること
親が亡くなった当日にするべきことは、まずは死亡診断書を受け取ることですが、それ以外にもやることはいろいろあります。 死亡診断書が発行されるまでには多少の時間がかかるため、その間に直接の家族をはじめとした近親者に連絡し、すぐに駆け付けてもらうようにします。 死亡診断書を受け取った段階で、スムーズに進んでいる場合にはエンゼルケア(遺体の体内から出てくる体液の処理や死化粧を行うなどの処置のこと)が終わっています。この状態で次に行うべきことは「葬儀社への連絡」です。 一般的に、親が亡くなった翌日の夜に通夜式を、翌々日に葬儀・告別式と火葬を行うのが通例となっています。そのため、すぐにでも葬儀社を手配しなければなりません。葬儀社が手配できたら担当者が駆けつけてくれるので、葬儀の形式や日程を打ち合わせて決めていきます。葬儀日程が決まったら、葬儀に参列してほしい親の知人友人に訃報とともに葬儀会場と日程の連絡をし、自分の職場や学校などにも忌引きの連絡しておきます。 その後、当日にするべきことは通夜式への準備に向けた工程全般です。たとえば、「遺体の搬送・安置」「安置場所での湯灌」「納棺」といった手順を、葬儀社と確認しながら手配し実行していきましょう。安置場所は葬儀社の管理する安置施設か、親の自宅となるのが一般的ですが、早急に確保する必要があります。 なお、役所に自分の親が亡くなったことを知らせる「死亡届」と、火葬の許可をしてもらうための「火葬許可証」を発行してもらう手続きも行います。これは葬儀社が代行してくれることが多いので任せてしまってもいいでしょう。
親が亡くなった時に確認すべきこと
親が亡くなった時には、いろいろと確認しなければならないことがあります。 まず大切になってくるのが「火葬場の空き状況の確認」です。先に述べた通例に従うならば、葬儀日程は死後24時間以上たった後かつ火葬ができる最短の日程で組む必要があるので、葬儀社を手配したら火葬場の予約状況もすぐに確認しましょう。 それ以外にも、「近親者のスケジュールの確認」も必要です。通常、身内の葬儀は何よりも優先されるものですが、念のため最低限直系の家族全員が通夜式や葬儀に出席できるかどうかの確認はするべきでしょう。 なお、葬儀の要望など故人様の遺志を確認するため、遺言書やエンディングノートが残っている場合にはその内容も早急に確認します。葬儀は故人様のためのものですから、なるべく故人様の遺志に沿った葬儀にする必要があるのです。
親の葬儀の流れ
親の葬儀の流れは、一般的な葬儀の流れを踏襲することになります。 葬儀の形式によって細かく流れは変わりますが、最も一般的な葬式(二日葬)の場合の流れは以下の通りです。
死後2日目(葬儀1日目)
♦納棺の儀 ♦通夜(通夜式) ♦通夜振る舞い
死後3日目(葬儀2日目)
♦葬儀 告別式 ♦出棺 ♦火葬 ♦お骨上げ ♦繰り上げ法要(初七日) ♦精進落とし 葬儀の流れについて詳しくは以下の記事を参照ください。
おくりびとのコラム
葬儀の流れとは?それぞれの所要時間や時間の注意事項
親が亡くなったら行う手続き
親が亡くなったら、非常に多くの手続きを行う必要がありますが、それぞれの手続きには所定の期限があり、期限が早いものもあります。 ここでは、親が亡くなったら行う手続きの中でも早急に行うべきものを解説していきます。
親が亡くなってから14日以内に行う手続き
♦年金受給権者死亡届の提出(国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内) ♦国民健康保険異動届の提出(14日以内) ♦介護保険資格喪失届の提出(14日以内) ♦世帯主変更届の提出(故人様が世帯主であった場合)(14日以内) ♦免許証やパスポートの返納手続き(すみやかに) ♦クレジットカードや公共料金の名義変更や解約の手続き(すみやかに) ♦死亡退職届や退職金の手続き(すみやかに)
親が亡くなってから3~10ヶ月以内に行う手続き
♦相続放棄(3ヶ月以内) ♦準確定申告(4ヶ月以内) ♦相続税の申告と納付(10ヶ月以内)
親の銀行口座はどうなる?
親が亡くなったら、親の銀行口座は凍結され、預貯金を引き出すことができなくなります。 これは、預貯金がそのまま親の遺産となり、相続に関係する財産としてカウントされるためです。 ただし、親の銀行口座が凍結されるタイミングは、あくまでも遺族が「親の死亡を銀行に伝えたタイミング」となります。役所に死亡届を提出したからといってそこから情報が洩れることはなく、勝手に凍結されるといったこともありません。 そのため、たとえば親の葬儀費用を親の預貯金から出す場合には、銀行に親の死を伝える前に行うといいでしょう。その際には葬儀を出す喪主が責任を持って管理し、他の法定相続人に対し説明をするとスムーズです。
相続についての注意点
親が亡くなったら発生するのが相続です。基本的に相続対象となるのは配偶者や子供といった直系の家族のみですが、複数の兄弟がいる場合には遺産の分け方や財産の持ち分などでトラブルになる可能性があります。相続放棄をする場合には死後3ヶ月以内に申し出る必要がある点にも注意しましょう。 相続税の申告や納付は10ヶ月以内と短いため、死後すみやかに話し合いの場を持ち(遺産相続協議)、それぞれの相続人がどのくらい相続するのかを詳細に取り決めることが重要です。
まとめ
以上、親が亡くなったらどうすればいいのかということについて、当日にするべきこと・早めに確認すべきこと・葬儀の流れといった早急に対応する必要がある事柄から、葬儀後行う手続きや相続の注意点などを解説しました。 親が亡くなるというのは大きな出来事です。葬儀を出すことや諸手続き、相続についてなどやるべきこと確認すべきことも山ほどあります。その際に取り返しのつかないことにならないよう、生前から親本人とも可能な限り話し合っておくことが大切です。