葬儀にかかる費用や葬儀に何を行うかは、葬儀の形式や地域によって異なります。 ここでは「関東」を取り上げて、その葬儀の特徴などについて解説していきます。
家族葬とは? 家族葬の流れ、注意点
まず、葬儀の形式のひとつである「家族葬」を取り上げて、その内容を解説していきます。 家族葬とは、「残されたご家族が声を掛けた人だけで行う葬儀の形式」を指す言葉です。一般的な葬儀は、多くの人に「故人様が亡くなったこと」を知らせて、弔問してもらう形式を取ります。そのため、故人様と面識がなかった人や、喪主と面識がなかった人なども葬儀に参列することがあります。 しかし家族葬の場合は、「ご家族が声を掛けた人」しか参列しません。そのため参列する人は、故人様やご家族と極めて近しい関係にあった人だけに限られます。なお名称こそ「家族葬」としていますが、実際に参列する人は「家族」だけに限られません。故人様と極めて親しかった人であるならば、血縁関係の有無に関わらず、葬儀に呼ぶことになります。 家族葬は、「直葬」「一日葬」「2日間にわたって行う葬儀」に分けられます(※一日葬に関しては、「一般葬でありながら、一日葬」という形式がとれないわけではありません。ただ、一般的には、一日葬は家族葬の形式をとります)。 2日間にわたる葬儀の場合は、その流れは一般葬とほとんど変わりありません。 1.ご遺体を安置 2.納棺の儀式 3.通夜式 4.翌日に葬儀・告別式 5.出棺 6.火葬 7.収骨 8.繰り上げ初七日法要 9.会食 という流れをとります。ただし、家族葬の場合は会食は省かれることがあります。また、無宗教の葬儀の場合は、初七日法要も省かれます。 ちなみに直葬の場合は火葬炉の前で簡単なお別れだけを行う葬送形態であり、通夜や葬儀・告別式を含みません。一日葬の場合は、通夜は行わず、葬儀・告別式を行って故人様を見送ることになります。 家族葬は来る人の数が少ないため、葬儀費用を大きく抑えられるというメリットがあります。また、気の置けない人だけでお見送りができるのもメリットです。 ただし、「後で訃報を知った人が、後日になって弔問に訪れる可能性が高いこと」は押さえておかなければなりません。一般的な葬儀ならば一度に多くの人とお別れができますが、家族葬の場合は後日、弔問に訪れた方々の対応を都度しなければならなくなるため、逆に手間がかかる可能性もあります。
関東の家族葬の費用相場
「小さなお葬式」がとったデータによれば、関東地方で行われる葬儀のうちの実に60パーセント以上がこの「家族葬」の形態だということです。これは2021年~2022年にかけて行った葬儀の喪主を対象としたものでした。 かつては家族葬よりも一般葬の方が高い人気を誇っていたのですが、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響もあり、このような数字になったのだと思われます。 このデータによれば、「家族葬にかかった費用のなかで、もっとも多い価格帯は60万円~100万円だった」とされています。4人に1人程度がこの回答としています。ちなみに、「40万円~60万円」を含めると、全体の42パーセント近くに達します。このため、「関東圏における家族葬の平均費用」は、40万円~100万円がボリュームゾーンと考えてもよいでしょう。 なお、上では「家族葬は一般葬に比べて費用が安い」としましたが、それでも3分の1程度は「100万円以上かかった」としています。葬儀全体の平均費用は(異論はあるものの)200万円程度とされています。家族葬であっても、場合によってはかなり高い金額になる可能性はあることは認識しておかなければならないでしょう。 出典: 小さなお葬式「【第1回調査】家族葬にかかる費用相場(関東地方編)」 https://www.osohshiki.jp/column/article/1783/
関東の葬儀の特徴
さて、冒頭で「葬儀のかたちは地域によっても異なる」としました。 それでは関東圏の葬儀にはどのような特徴があるのでしょうか。 関東圏の葬儀では、「通夜振る舞い」がよく見られます。これは通夜の後に故人様の思い出話をしながら飲食をする場です(家族葬では省かれることもあります)。 関西圏でも見られないわけではありませんが、これは関東圏の文化ということです。 また、収骨にも違いが見られます。関東圏で使われている骨壺は、関西圏のそれに比べて大きく、より多くのご遺骨を拾うことができます。関西の骨壺と関東の骨壺は、6センチ~12センチ程度も違うと言われていて、関東圏では「全骨収骨(すべてのご遺骨を納める方法)」の形式になることが多いのですが、関西圏では「部分収骨(一部のご遺骨だけを納める方法)」がよく取られます。 上では「収骨」の話をしましたが、関東圏の葬儀、とりわけ東京23区にのみ限った話として、「火葬場の選択肢が異なること」が挙げられます。 ほかの地方では、火葬場はそのほとんどが公営のものを利用します。しかし東京23区の場合は、民間の火葬場が選択肢に入ってきます。これは、利用希望者が多すぎて、公営の火葬場だけでは十分にさばききれないからだと考えられています。 ちなみに公営の火葬場は住民サービスの一環として運営されているため費用が安く設定されていますが、民間の火葬場は値段が高めに設定されています。
葬儀を行う場所
関東圏の葬儀でも、ほかの地方の葬儀同様、 ♦宗教施設(教会や寺院など。神社は利用されない) ♦葬祭ホール ♦火葬場併設の会場 ♦自宅 などが葬儀を行う場所として使われます。 ただ関東圏の場合は、土地代の高さから、「葬儀を行えるだけの広い部屋」を確保することが難しいお宅もあることでしょう。またマンションなどの場合は、棺を運べるエレベーターがないということで、自宅葬を断念しなければならないケースもあるかと思われます。 その場合は、自宅葬を除いたほかの選択肢を選ぶことになるでしょう。
まとめ
関東圏、特に東京23区は、「公営の火葬場を使えるとは限らない」というデメリットがあります。 しかし葬儀会社は多く存在しますし、相談もしやすい環境が整っています。 自分に合う葬儀会社を選ぶことも、そう難しくはないでしょう。