家族が亡くなり、葬儀社との打ち合わせを終え、葬儀の詳細が決まると、見積書が提示されます。 しかし、葬儀自体が馴染みのないものであり、多くの方にとって提示された金額が適切なのか判断するのはなかなか難しいでしょう。 そこで、今回は葬儀費用の平均や、費用を抑えるポイントなどについてご説明します。 ぜひ葬儀を行う際の参考にしてください。
葬儀費用の平均相場は約110.7万円
2022年に鎌倉新書が実施した「第5回お葬式に関する全国調査」によれば、平均的な葬儀費用は約110.7万円でした。 費用の内訳は、基本料金(葬儀一式の費用)が約67.8万円、飲食代が約20.1万円、返礼品が約22.8万円です。なお、お布施の費用は含まれていません。 ちなみに、2020年の「第4回お葬式に関する全国調査」では、基本料金が約119万円でした。葬儀費用が約50万円も下がった要因の一つは、新型コロナウイルスの影響です。 コロナの影響により参列者が減少し、斎場や祭壇の規模も縮小されたため、葬儀費用の平均相場が下がったと考えられています。
葬儀費用の内訳は3つ
お葬式の費用は、主に3つの項目で構成されています。 まずは葬儀そのものに関わる費用(葬儀一式)です。次に、接待にかかる費用(飲食や返礼品)があります。そして最後に、宗教的な要素や寺院へのお礼に関連する費用(お布施や寺院費用)があります。 これら3つの費用を合計すると、お葬式全体の費用である葬儀費用の総額が算出されます。ただし、参列者の人数や必要な物品(例:ドライアイスの量)など、実際の葬儀が進行するまで確定しない費用も存在します。
葬儀一式費用(通夜・葬儀・告別式)
お通夜や葬儀・告別式を行う際に必要な費用はさまざまです。 葬儀場、斎場の利用料、祭壇や棺、遺影などの用品にかかる費用、司会や葬儀社スタッフの人件費、そして寝台車や霊柩車の費用などが含まれます。これらは一括して「葬儀一式費用」や「葬儀本体費用」と呼ばれることもあります。 火葬料は通常、喪主(施主)が直接火葬場に支払うか、葬儀社が立て替えて後日精算する形となります。葬儀社からの請求書には「火葬にかかる費用」が含まれる場合がありますが、これは立て替えた費用の精算を意味します。
飲食接待費用(飲食・返礼品)
お通夜から葬儀・告別式までの間には、飲食に関する費用や香典返しにかかる費用があります。 これらは一般的に「飲食接待費用」と呼ばれています。 飲食接待費用は葬儀社の見積もりに含まれていますが、参列者の人数によって変動するため、見積もりと請求書の間に差が生じることがあります。 香典返しについては、喪主が自宅を訪れた弔問客にお渡しするため、一時的に多めに用意する場合があります。その後、四十九日までに余った品を葬儀社に返却し、実際にお渡しした数に基づいて改めて精算されます。
寺院費用(お布施)
お通夜や葬儀・告別式では、宗教的な要素として読経や戒名授与が行われます。 その際、宗教者に感謝の気持ちを示すためにお布施が渡されます。また、御車料や御膳料を支払うこともあります。お布施は通常、喪主が直接宗教者に手渡しを行います。なお、お布施は葬儀社の請求には含まれていないので注意が必要です。お布施の金額は決まっておらず、各家庭や故人様と菩提寺との関係によって異なります。最近では菩提寺との交流が希薄になっていることもあり、適切な金額がわからない場合は、菩提寺に直接尋ねることも問題ありません。 一部の方々には菩提寺やお付き合いのあるお坊さんがいない場合もあります。そのような場合は、全国各地のお坊さんを紹介してくれるサービスを利用することをおすすめします。定額でサポートしてくれるので、安心して手続きをすることができます。
葬儀費用で発生する追加料金
葬儀費用には、基本プランの価格に加えて追加料金がかかる場合がありますので、注意が必要です。 追加料金が発生する主なケースは、基本プランにオプションを追加する場合や、予期しない対応が必要になった場合です。 トラブルを避けるためにも、追加料金がどのような場合にかかるのか事前に確認しておくことが重要です。そうすることで、追加料金に関する問題が起きることを避けることができるでしょう。
想定外の状況によって追加料金が生じることもある
見積もりを確認する際には、予想していなかった事態により追加料金が発生することもあるので注意が必要です。 参列者の数が予定よりも多かった場合、飲食や返礼品にかかる費用も増えます。ただし、直葬のように限られた人数で行われる場合は、飲食接待費用に追加料金がかかる可能性は低いでしょう。
葬儀費用は誰が支払う?
一般的に、葬儀の主催者である喪主が費用を負担することが一般的です。ただし、家庭ごとの関係や相続の状況などによって異なるため、一概には言えません。 喪主の年齢や収入によっては、親族が協力し合って葬儀を行う場合もあります。また、喪主とは別に、財務的な面で葬儀を管理する施主を指定することもあります。例えば、社葬の場合、喪主は家族や親族であり、施主は会社が担当します。
葬儀費用を安くおさえるポイント
葬儀費用は高額です。 予期せぬ訃報があり、葬儀費用を捻出することが難しい場合や、費用を節約したい方も多いでしょう。 以下では、葬儀費用を抑えるためのポイントを紹介します。
複数社の見積もりを比較
葬儀費用を抑えながらも良い葬儀を行うためには、葬儀社の選択が非常に重要です。 可能であれば、複数の葬儀社から見積もりを取り、比較することをおすすめします。複数の見積もりを比較することで、高額な葬儀社を避けることができます。 ただし、金額だけに注目するのではなく、費用に対して何が含まれるのかを意識しましょう。セットプランには何が含まれているのか、追加のオプションは必要かなど、葬儀の内容にも注目することで、より正確な比較ができます。 さらに、見積書を確認する際には、葬儀費用だけでなく、飲食や返礼品、お布施まで含めた葬儀全体の予算感を考慮してください。
葬儀形式の見直し
葬儀の形式や規模によって、葬儀費用は大きく異なります。 一般的に、参列者数や規模が少ないほど費用も少なくなります。具体的な葬儀形式としては、直葬・火葬式、一日葬、二日葬、一般葬の順で費用が安くなります。 故人様の交友関係や年齢によっては、参列者が少なく、大規模な葬儀を行う必要がない場合もあります。最近では、自身の葬儀を簡略化したいと考える人も増えています。故人様の希望を考慮しながら、葬儀の形式や規模を見直してみましょう。
飲食費、葬祭用品の再確認
葬儀の形式によっては、参列者に食事を提供することがあります。 料理の種類や数は形式、葬儀会社によって異なるため、適切な金額で参列者をもてなすことができます。 また、棺や祭壇、生花などの葬祭用品も、品質やグレードによって料金が変わります。予算に合わせて項目を見直し、適切なグレードを選ぶことで費用を節約できます。
香典で支払う
葬儀費用を軽減する方法の一つとして、お香典を利用することがあります。 お香典は、故人様の家族を支えるためのものであり、参列者全員で葬儀費用をまかなうことにつながります。 お香典の金額は、参列者との関係や人数、地域の習慣などによって異なります。葬儀の形式や規模によっても変わるため、一概には言えませんが、葬儀費用の半分から3分の1程度を目安に考えることができます。
葬儀保険に加入
葬儀保険は、自身が亡くなった際の葬儀費用をカバーするための保険です。 生命保険の一種であり、死亡保険や終活保険とも呼ばれており、各保険会社でさまざまなプランが提供されています。 葬儀保険は事前に申し込みが必要であり、保険の効力が発生するまでに時間がかかります。したがって、故人様が亡くなった後では対応できません。もし可能なら、事前に各保険会社のプランを調べて加入しておくことがおすすめです。
僧侶手配サービスの利用
日本では、約9割の葬儀が仏式で行われていると言われています。 宗派によってやや異なる場合もありますが、多くの方が葬儀で読経や戒名・法名を希望しています。 読経や戒名授与は、自分たちの菩提寺の宗教者に依頼するのが一般的です。ただし、菩提寺のお布施が高額であったり、菩提寺が存在しない場合もあります。 そんなときは、僧侶の手配サービスを利用することも考えましょう。このサービスでは、全国一律の料金で僧侶がお勤めしてくれますので、葬儀の寺院費用を節約できる可能性があります。また、一度手配したからといって必ずしも檀家になる必要はありません。菩提寺がない場合には、この手法を検討してみる価値があります。
補助金制度
葬儀後に、喪主(施主)が所定の申請を行うことで給付金を受け取ることができる制度があります。 ただし、健康保険や共済組合、国民健康保険など保険の種類によって名称や申請方法、期限が異なるため、内容を確認しておく必要があります。一部の自治体では、直葬や火葬式は葬祭ではないとみなされ、葬祭費の申請が認められない場合もあります。 詳細に関しては各自治体に確認しましょう。
葬儀費用をめぐるトラブルを防ぐための注意点
葬儀では、サービス内容が複雑であり、葬儀費用に関する問題が生じることもよくあります。 最近では格安の葬儀プランを提供している会社も多くありますが、安さを優先するあまり、希望通りの葬儀ができなかったというトラブルもあります。 大切な故人様との最後のお別れの場で後悔しないためにも、見積もりや打ち合わせの段階で内容をしっかりと確認しましょう。自分の希望に沿った葬儀が実現するよう、細かな部分まで納得できるようにすることが重要です。
見積もりの内容をきちんと把握する
葬儀社からの見積もりを受ける際は、葬儀の形式や提供されるサービスなどを注意深く確認しましょう。 ただ金額にばかり目が行って、自分の希望する儀式やサービスが含まれていないプランになってしまうと、思っていた葬儀とは全く違う形になってしまう可能性があります。 また、相場よりも極端に低い価格のプランの場合、特定のサービス(例:ドライアイス)が含まれていなかったり、必要な数量が最低限に制限されていたりすることがありますので、細かい点まで確認しておくことが重要です。プランそのものが低価格でも、必要なサービスを追加オプションとして選ぶと、結果的に高額になることもあるので、注意が必要です。
葬儀社とのコミュニケーションはしっかりと
葬儀社とのコミュニケーションをしっかりと取ることは非常に重要です。 誤解や行き違いを防ぐためにも、担当者とのコミュニケーション不足は避けるべきです。葬儀の計画や打ち合わせの際には、積極的に質問をして不明点を解消しましょう。 特に、格安のプランを選ぶ場合には費用を節約するために、どのようなサービスが削減されているのか、デメリットは何かをしっかりと確認することが大切です。適切な情報を得ることで、後悔やトラブルを避けることができます。
葬儀費用を払えない場合
一般的に、葬儀費用は葬儀後1週間以内に一括で支払うことが多いです。 葬儀の規模や形式によって数十万円から数百万円まで幅広い金額になることがあります。 葬儀は結婚式とは異なり、突然やってくることがあり、短期間で迅速に準備をしなければならないことがあります。だからこそ、充分な準備が難しい場合もあります。支払いに困った場合にも、冷静に対処方法を確認しておくことがおすすめです。
葬儀ローンを利用する
葬儀費用の支払いには、「葬祭ローン」や「冠婚葬祭ローン」と呼ばれる借り入れが利用されます。 これは銀行や信用金庫などでは「フリーローン」とも呼ばれています。多くの葬儀社では、ローンの申し込み方法を案内してくれますが、全ての葬儀社がローンを取り扱えるわけではありませんので注意が必要です。 もし最初からローンを利用することを考えているのであれば、事前にローンを取り扱っている葬儀社を探しておくと良いでしょう。 ローンは費用を手軽にまかなうための方法ですが、注意点もあります。分割手数料が発生する場合や、ローンの審査に通らなければ利用できないことを覚えておきましょう。
親族や友人に相談をする
もし支払いに心配がある場合は、親族や友人に相談をすることをおすすめします。 親族であれば、費用を分担してくれたり一部を負担してくれる場合もあります。友人に相談することで、自分が思いつかなかったお金の工面方法やアイデアをもらえることもあります。 お金に関する不安を解消するために、身近な人々と協力しましょう。
葬祭扶助制度の利用
生活保護を受けている方が亡くなったり喪主となる場合、葬儀費用の一部を支援してくれる「葬祭扶助制度」を利用することができる場合もあります。 葬祭扶助制度は、生活保護の一環として提供される支援の一つであり、誰でも簡単に受けられるわけではありません。申請は喪主が行い、地方の福祉事務所で手続きをします。申請は葬儀の前に行う必要があります。 申請が認められた場合、葬儀社には葬祭扶助制度の利用を伝えましょう。これにより、葬儀費用の連絡は直接福祉事務所と葬儀社の間で行われます。つまり、喪主を介さずに支払いが行われる仕組みです。 ただし、葬祭扶助制度の支給額には上限がありますので、葬儀の内容には制約があり、一般的には、直葬が行われます。 葬祭扶助制度では、火葬が主流ですが、法的には火葬が必須とされているわけではありません。ただし、多くの自治体が場所の都合や衛生面の理由から火葬が選ばれることが一般的です。
まとめ
葬儀の費用や満足度は、選ぶ葬儀社によって大きく異なります。 重要なのは、複数の葬儀社に見積もりを依頼し、内容を比較検討することです。 「葬儀費用が高額だと聞いたので、できるだけコストを抑えたい...」 「初めて喪主を務めることになったが、どの葬儀社に頼めばいいか分からない...」 そのようにお困りの方はぜひ「おくりびとのお葬式」へご連絡ください。 葬儀に関する相談・依頼は24時間体制で承っておりますので、葬儀費用に悩まれている方もぜひご相談ください。