2024.10.23
家族葬とは?流れやメリット・デメリットについて、専門葬儀社「おくりびとのお葬式」が解説。
近年では、一般的な葬儀の形式の一つである「家族葬」について、皆さんはご存知でしょうか? こちらの記事では、一般的に耳にする「家族葬」という葬儀の形式について、その定義や進行の流れ、メリットやデメリットなどを詳しく解説します。ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
家族葬とは
「家族葬」とは、親族や親しい友人・知人を中心に行われる葬儀の形式です。 故人様と深いつながりのある方々が集まり、お別れの時間を共有することで、充実したひとときを過ごすことができます。 「家族葬」には明確な定義はありませんが、一般的には1人から30人程度の参列者がいて、一般的な葬儀(一般葬)と同様に宗教者をお招きすることが一般的です。
密葬と家族葬
「密葬」とは、家族や親しい友人だけが参列する形式で行われる葬儀の一種です。 家族葬との違いは、故人様と親しい人々がゆっくりお別れする機会を設けることです。その後、改めて多くの人々を招いて行う「本葬」を行う場合もあります。 密葬は主に、芸能人や企業の社長など、幅広い人脈を持つ方々によく見られます。 「親しい人たちとの特別な時間を作りたいが、大勢の人にも声をかける必要がある」といった理由から、密葬を選ぶことがあります。 かつては、本葬を行わない場合でも、身内だけで行う葬儀は密葬と呼ばれていました。しかし、同じ呼び方だと「本葬があるのかどうか分かりにくい」という理由から、家族葬という呼び方が一般的になったのです。
家族葬の流れ
以下は、ご逝去から火葬後までの家族葬の手順をわかりやすくご紹介します。 一般的な葬儀の流れとほぼ同じですが、事前に知っておくと安心です。なお、できるだけ早めに葬儀社を選び、親族をどの程度招くか考えておくと準備がスムーズに進められます。
死亡確認~葬儀の打ち合わせ
♦死亡診断 通常数時間以内にご遺体を安置場所に移動させる必要があります。 ご遺体の安置には、一般的に葬儀場の安置室が使われます。そのため、安置を頼む葬儀社に直接連絡を取ることが多いです。 また、その葬儀社には葬儀の依頼も一緒にすることが多いので、家族葬を行っている葬儀社に連絡しましょう。そして、病院での死後処置が終わる時間に合わせて、寝台車の手配をお願いしましょう。 ♦葬儀社によるお迎え 葬儀社のスタッフが寝台車でお迎えに来てくれます。 家族も一緒に寝台車に乗り、ご遺体を安置する場所に向かいましょう。ご遺体の安置が完了したら、故人様に線香をお供えします。 ♦葬儀打ち合わせ 喪主を決めた後は、葬儀の日程や場所、料金プランなどの打ち合わせを行います。 どのような葬儀を希望するかを考え、必要なサービスや追加オプションを検討しましょう。 日程が仮押さえできたら、菩提寺に連絡しましょう。一般的に、葬儀の読経は菩提寺にお願いするため、僧侶の予定を確認して葬儀の日程を最終決定しましょう。 もし菩提寺が遠くにある場合は、お坊さん手配サービスを利用することもできます。このサービスでは、葬儀の日程に合わせて僧侶を派遣してもらえます。
湯灌~通夜振る舞い
家族葬では、通夜を1日目に行い、葬儀と告別式を2日目に行います。一般葬と同じ手順です。
♦湯灌(ゆかん)の儀、納棺 通夜が始まる前には、湯灌(ゆかん)の儀式が行われます。 湯灌とは、ご遺体を清めて整え、故人様があの世に旅立つための身支度を整える儀式です。簡略な湯灌の場合、濡らしたタオルやアルコール脱脂綿を使ってご遺体を拭き清めます。 湯灌が終わったら、故人様に白装束を着せて棺に納めます。 ♦通夜、通夜振る舞い 通夜の開始時刻の1時間前くらいになると、会葬者の受付が行われて、通夜が始まります。 通夜は通常、18時ごろから始まることが多いです。 通夜では、僧侶による読経が行われた後、喪主から順番に焼香を行います。喪主が挨拶をして閉式となります。そして通夜の後には、「通夜ぶるまい」と呼ばれる会食が行われます。ただし、家族葬の場合は参列者の受付や喪主の挨拶が省略されることもあります。状況に応じて必要性を判断しましょう。
葬儀・告別式~精進落とし
♦葬儀・告別式 通夜の翌日には葬儀・告別式が行われます。 火葬の時間によって異なりますが、午前中に始まることが多いです。 葬儀・告別式では、参列者が着席した後に開式が行われます。僧侶による読経が行われた後、喪主、遺族、参列者の順に焼香が行われます。また、友人や知人からの弔電があれば、告別式の最中に読み上げられます。 焼香が終わると、故人様との最後の時間が訪れます。祭壇から棺が降ろされ、蓋が開けられます。 その後、「別れ花」と呼ばれるお花を入れて故人様に別れを告げます。別れ花の後には、「釘打ちの儀」が行われます。棺の四隅に釘が打たれ、故人様にゆかりのある方が2回ほど釘を打ち込みます。ただし、地域によっては釘打ちの儀が省略されることもあります。 ♦出棺 葬儀が終わった後、棺は葬儀会場から霊柩車へと運ばれます。 出棺の際には、喪主が位牌を持ち、故人様との縁の深い方が遺影を持つことがあります。 遺族全員が火葬場に同行しない場合は、棺が霊柩車に収められた後に、喪主が挨拶をするのが一般的です。霊柩車を先頭にして、車やマイクロバスなどで親族も火葬場に向かいます。火葬場で納棺の儀式が行われる場合は、僧侶も同行します。 ♦火葬・収骨(骨上げ) 火葬場の予約時間に間に合うように到着し、火葬の準備をします。 火葬炉の前で納めの儀を行い、僧侶に読経をしてもらいます。火葬自体は約1時間ほどかかるので、その間は控室で静かに待ちましょう。 火葬が終わると、故人様のご遺骨を収めるための「収骨(お骨上げ)」を行います。箸を使ってご遺骨を拾い上げ、骨壷に丁寧に収めていく儀式です。 ♦精進落とし 火葬が終わった後は、「精進落とし」と呼ばれる食事をします。 通常は葬儀会場で行われますが、レストラン、飲食店やホテルで行うこともあります。ただし、小規模な家族葬では特別な会食を行わず、解散することもあります。
家族葬の費用
家族葬の費用は、一般的に以下のような項目に分かれます。 それぞれの費用は、葬儀社や地域、葬儀の規模によって変動しますが、基本的な内訳を知っておくことで予算計画を立てやすくなります。
1. 葬儀一式の費用
葬儀の準備や進行を担当する葬儀社に支払う費用で、一般的に「祭壇費用」、「棺」、「遺影」、「霊柩車」、「火葬手続き」などが含まれます。 一般葬とは異なり、声を掛けられた人のみが参列する葬儀となるため、費用は比較的抑えられるでしょう。 参列者の数は任意に調整できますが、30人を超えるケースは比較的珍しいといえます。 50万円~100万円がボリュームゾーンかと思われます。
2.火葬費用
火葬場の利用料は、自治体によって異なりますが、1万円~5万円程度が一般的です。 公営火葬場では比較的安価ですが、民間の火葬場では料金が高くなる場合があります。
3. 会場使用料
葬儀を行う会場のレンタル費用です。 家族葬では、自宅で行う場合や、葬儀社の小規模な式場を利用することが多く、使用料の相場は0円~10万円程度です。 自宅での葬儀は会場使用料がかかりませんが、式場を借りる場合は費用がかかる場合があり、20万を超えるケースもあります。
4. お布施
宗教儀礼を行う場合、僧侶や神主などに支払うお布施が必要です。 お布施の原則として、「ご僧侶様の人数が多ければ多いほど、多額になる」という点があります。 また、位が上の戒名をつけようとするとお布施も高くなります。 一番上の位を望む場合は、100万円程度を包むことも珍しくありません。 葬儀の形式によって相場も変わり、火葬式のみの場合5~15万円ほどですが、 通夜や告別式も行う葬儀だと、20~50万円ほどとなります。 宗派や地域によって異なるため、事前に確認することが大切です。
5. 返礼品・飲食費
参列者に渡す返礼品や、会食にかかる費用も必要です。 家族葬の場合、参列者が少ないため、これらの費用相場は比較的少額ですが、それでも5千円~数万円程度は見込んでおくとよいでしょう。
家族葬のメリット・デメリット
どの葬儀形式にも長所と短所があります。 お葬式は故人様との最後の別れであり、やり直しの機会はありません。後悔しないためには、家族葬や他の葬儀形式の良い点と悪い点を理解しておくことが重要です。 家族葬を選択するかどうか迷った場合は、他の葬儀形式との違いを比較してみることもおすすめです。それによって、ご自身や故人様の希望や状況に最も適した選択ができるでしょう。
メリット
♦費用を抑えることができる 一般的に、参列者が少ない場合は葬儀費用も少なくなります。 つまり、小規模な家族葬は一般葬に比べて費用を節約できるのです。 ただし、葬儀の費用だけでなく、香典の額も収支に影響します。最終的な赤字の割合は、これらの要素を考慮したバランスで決まります。だからこそ、収支のバランスをしっかりと考えることが重要です。 ♦自由な葬儀ができる 家族葬は、身近な人たちだけで行われるため、社会的なプレッシャーを気にせず、自由な葬儀を行うことができます。 特に、最近では小規模な葬儀が増えており、個性的な「花祭壇」が人気です。 花祭壇は、従来の白木祭壇とは異なり、花の種類やデザインに制約がありません。さらに、花祭壇には花を飾るだけでなく、故人様の思い出の品を展示したり、家族からの贈り物を置いたりするスペースも作ることができます。 また、もう一つの自由な葬儀スタイルとして「音楽葬」が人気です。音楽葬は、無宗教葬や自由葬と呼ばれる形式の一つで、読経などを行わずに音楽を中心にした葬儀です。 葬儀で流れる音楽は参列者の心に響き、その曲を聞くたびに故人様を思い出すきっかけとなるでしょう。また、音楽葬では選曲が家族主体で行われることが多く、故人様や家族の思いを大切にすることができます。 ♦料理や返礼品の自由度が高い 一般葬では多くの人を招くため、料理や返礼品の用意は葬儀社に依頼するのが一般的です。 返礼品の種類が多いので葬儀会社に全て任せてしまうこともできます。 ♦故人様と落ち着いてお別れできる 一般葬では多くの参列者に気を配りながら対応しなければなりませんが、家族葬では気心の知れた方のみが集まるため、遺族の負担が軽くなります。 家族だけの時間をゆっくりと過ごすことで、思い出話をしながら故人様とのお別れに向き合うことができるのです。
デメリット
♦親族から反対される場合がある 近年、家族葬が増えていますが、ご高齢の方にはまだ馴染みが薄いかもしれません。 そのため、家族葬を行うことに対して、親族から反対の声が出ることがあります。 この場合、家族葬の内容やメリットを詳しく説明することが重要です。反対の理由は、家族葬の利点が充分に理解されていないことかもしれません。家族葬が現代の主流の葬儀であり、時代に適した形式であることをしっかり伝えましょう。 ♦トラブルに発展しやすい 家族葬での「親しい間柄の方のみ」という基準は曖昧であり、どの方を招待するか判断するのは難しいことがあります。 そのため、招待の線引きが不明確であることから、「なぜ招待されなかったのか」と不満を抱く方が出る可能性もあります。 このようなトラブルを避けるためには、故人様の知人に対して葬儀前に連絡することが重要です。事前に連絡することで、事情を理解してもらえる場合も多くありますし、後から報告するよりもトラブルが起きにくくなるでしょう。 ♦葬儀後に弔問に訪れる人が多くなる可能性がある 家族葬では、身内だけで葬儀を行うため、故人様との別れに立ち会えない人が増えることがあります。 その結果、葬儀後に自宅に弔問に訪れる人が多くなることがあります。 弔問が続くと、遺族は多くの対応をしなければなりません。相続手続きなども同時に行わなければならず、その負担は軽くありません。また、故人様の知人でも、あまり面識のない人を自宅に招くことは気が進まないこともあるでしょう。 葬儀後の対応に困らないためには、弔問をお断りする場合は、葬儀の連絡と同時に事前に伝えておくことが大切です。 ♦香典の金額は一般葬のほうが多い 家族葬では一般葬に比べて参列者が少なくなるため、受け取る香典の額も減ることがあります。 それによって、家族が負担する葬儀の費用が増える可能性があります。家族葬を選ぶ際には、この点を事前に理解しておくことが重要です。 また、香典が少ないことを予測しておくと、葬儀の内容を調整することができます。過度に豪華な葬儀を計画しなければ、予算に合った葬儀を実現することができます。
家族葬を行う際の注意点
♦訃報を知らせる方 故人様の兄弟姉妹には必ず知らせるべきでしょう。 また、年賀状などで親しい友人の連絡先を確認することもおすすめです。連絡をする人数を減らすことで、大切な方を見落とすことがないようにしましょう。 ♦参列者の人数 多くの人が参列しそうな場合は、一般葬を選ぶことがおすすめです。 参列者が50人を超える場合は、一般葬にしたほうが良いでしょう。葬儀に参加できなかったことを後悔する人が出ないように、人数を考慮して計画しましょう。 ♦葬儀後にすること 亡くなったことを知らせずに家族葬を行った場合は、葬儀後に近しい人に対して挨拶状を送ることをおすすめします。 その中で事情を説明し、理解を得ることが重要です。また、葬儀後数日が経過してからも弔問に訪れる人がいるため、急な来客にも対応できるように、自宅には会葬返礼品を用意しておくと良いでしょう。
家族葬を行う葬儀社の選び方
家族葬を行う際は、特別な設備は必要ありません。 ただし、家族葬の経験が豊富で、希望に合った見積もりや提案をしてくれる信頼できる葬儀社を選ぶことが重要です。 また、広すぎるホールは寂しい印象を与えることもあるため、参列者の人数に合った葬儀場を選ぶことが大切です。できるだけ事前に、式場や遺族控室、安置室などを確認しておくこともおすすめです。
まとめ
家族葬は多くのご家族に選ばれている形式で、故人様と親しい参列者だけが集まり、静かに最後のお別れをする葬儀です。 家族葬では、形式にとらわれずに故人様とご家族の思いに焦点を当てることができます。そのため、年々家族葬を選ぶご家族が増えています。 家族葬は単なる小規模な葬儀ではなく、参列者の人数をあらかじめ決めることができます。お呼びする方の範囲や人数には決まりはありません。迷う場合は、連絡した方が後々のトラブルを避けることにつながります。 家族葬を依頼する際にも、複数の葬儀社から見積もりを取ることをおすすめします。後悔しないためにも、慎重な選択が重要となるでしょう。