お盆には、故人様や亡くなった家族の霊が現世に戻ってくると考えられています。特に初盆(はつぼん)は、故人様の霊が初めて里帰りするとされ、親しい人々が集まり法事を行います。 この記事では、初盆を迎える準備と供養の流れについて紹介しますので、ぜひお役立てください。
初盆とは?
初盆とは、故人様の四十九日(忌明け)以降に初めて迎えるお盆のことを指します。 そのため、四十九日以内にお盆が来た場合は、翌年が初盆とされます。地域によっては「初盆(ういぼん)」、「新盆(にいぼん)」と呼ばれることもあります。 お盆では、故人様や先祖の霊が帰ってくると言われており、一般的には自宅でお供え物を用意したり、提灯を飾ったりして故人様をお迎えし、お墓参りをします。初盆では、それに加えて僧侶や親族、故人様と親しい関係にあった人々などを招いて法要を行います。
初盆はいつ?
多くの地域では、旧暦の8月にお盆を行います。 しかし、東京・神奈川・北海道・石川・静岡などの一部地域では、新暦の7月にお盆を行う習慣があります。新暦は明治5年(1872年)に導入され、当時の政府がこの暦を推進したため、首都である東京や周辺地域で7月にお盆が行われるようになったと言われています。
初盆は通常のお盆と何が違う?
初盆はお盆の一種ですが、通常のお盆とは異なる点があります。 最も大きな違いは、初盆では一般的に法要が行われ、通常のお盆では法要が行われない場合が多いことです。 初盆では、僧侶を招いて読経をしてもらい、通常のお盆よりも厳粛に供養を行う人が多いでしょう。また、親族を招いて法要を行なった後には、食事を共にする機会も一般的です。
初盆にやること
7月盆と8月盆のどちらの場合でも、一般的には13日から16日の間にお盆の行事が行われることが多いです。 実際にどのようなことをするのか、これから解説していきます。
迎え火
13日には迎え火を行い、故人様や先祖の霊をお迎えします。 迎え火は地域によって異なり、門や家の出入口で行なったり、お墓で行なったりします。 お迎えの準備として、午前中に精霊棚に飾り付けやお供え物をします。また、仏壇から位牌を取り出し、精霊棚の中央に置き、仏壇の扉を閉めておきます。 昼間はお墓参りをし、お墓の掃除を行い、夕方には松の割り木や麻幹(おがら)を使って迎え火を焚き、盆提灯に明かりを灯します。 初めての里帰りで故人様の霊が迷わないように、初盆の時には盆提灯の他に白提灯を玄関先に飾ることがあります。
お墓参りと法要
14日または15日には、お墓参りを行います。 僧侶を招いて初盆法要を執り行い、先祖の霊を供養するのが一般的です。初盆法要の後には、食事を共にすることもあります。 この期間は故人様と先祖の霊が帰ってきているため、毎日お供え物や水を交換し、ろうそくや線香の火を絶やさないようにしましょう。
送り火
16日はお送りの日であるため、送り火を行います。 霊が安心してあの世に帰ることができるように、願いを込めて行います。夕方までにお供え物やお祈りをし、その後に送り火を焚いて故人様と先祖の霊を見送ります。盆提灯は毎年使うものなので、お盆が終わったらきれいに手入れして保管します。一方、白提灯は初盆の時だけ使用するものであるため、お焚き上げなどで処分します。 地域によっては、「精霊流し」や「灯篭流し」といった形で送り火を川に流す行事も行われます。
初盆を迎える前にの準備
初盆では、僧侶を招いて法要を行います。 精霊棚やお供え物、盆提灯などを用意して供養してもらうことになりますが、通常のお盆と比べて、準備や手配することが多いのが特徴です。
僧侶の招待と早めの連絡
初盆の法要には、事前に僧侶と連絡を取り、日程を確定させる必要があります。 お盆の時期は寺院も忙しくなるため、最低でも1ヶ月前には連絡しておくと良いでしょう。また、法要後に会食を予定している場合は、僧侶の参加可否を確認し、白提灯の処分(お焚き上げ)についても相談しておきましょう。 親族だけでなく、故人様と親交の深かった方々を招待する場合もあるため、事前に連絡を取る必要があります。多くの家庭が夏休みや旅行の計画を立てるため、初盆の連絡や案内は早めに行うことが大切です。
必要な物の事前準備
お盆では、精霊棚、精霊馬、盆提灯、お供え物、お花などが必要です。 初盆の場合は、それに加えて白提灯も必要となります。迎え火の前日である12日までには、これらの準備を完了させておきましょう。 法要後に会食を予定している場合は、事前に仕出し業者や飲食店に法事での利用であることを伝え、料理の手配をしておきます。
僧侶へのお布施の準備
法要を依頼した僧侶への礼として、お布施を渡すのが一般的です。 お布施は「お気持ち」として渡されるものであり、特定の金額が定められているわけではありません。ただし、初盆のお布施の相場は、3万円から5万円程度と言われています。初盆では親族や知人が多く訪れ、比較的大規模な法要が行われることが多いため、通常のお盆の法要と比べてやや高めの傾向があります。 また、お布施の他にお車代や会食に参加しなかった場合の御膳料も用意しましょう。お車代は5千円から1万円程度、御膳料は食事内容によって異なりますが、5千円から2万円程度です。 これらの「お布施」「お車代」「御膳料」は、まとめて奉書紙で上包みに折り込みます。別々の封筒に入れる必要はありません。1つの奉書紙にまとめて、「お布施」と普通の墨で表書きをしましょう。なお、お布施を渡す際には直接手渡しするのではなく、盆などに載せて渡すようにしましょう。
初盆の法要でのマナーや注意点
初盆の法要に参列する際には、何に気を付けるべきでしょうか。 以下では、香典の目安や服装のマナー、宗派ごとの初盆の違いについて解説します。
初盆の香典
初盆の場合も、他の法事や法要と同様に香典が必要です。 初盆の香典の金額は、故人様との関係や年齢によって異なります。以下は、関係性に応じた香典の金額の目安です。 両親:1万円~3万円 兄弟:1万円~3万円 祖父母:1万円 おじ・おば:5千円~1万円 香典の金額に迷った場合は、詳しい人に相談することをおすすめします。
初盆での服装マナー
初盆では、遺族も参列者も喪服や礼服を着用するのがマナーです。 忌明け後の法要では、服装は簡素化される傾向があります。しかし、初めてのお盆である初盆では、喪服や礼服を身に着けて法要に臨むことが賢明です。 ただし、親族から「普段の服装でお越しください」という連絡があったり、地域や家庭ごとに異なる考え方がある場合もあります。その場合は、指定された服装で参列します。 「普段の服装」とは、カジュアルな服装のことではありません。男性の場合、無地のダークスーツが適切です。ネクタイは無地の黒を選び、靴下や靴も黒で統一し、派手なデザインのものは避けます。アクセサリーは結婚指輪程度にし、派手な時計やネクタイピンは使用しないようにしましょう。 女性の場合、ダークスーツやワンピースが適切です。色は黒や濃紺、灰色などの暗い色であれば問題ありません。ただし、スカートの丈やブラウスの胸元には注意が必要です。座ったり屈んだりした際に肌が露出しないよう、短すぎないスカートと胸元が開きすぎないブラウスを選ぶようにしましょう。 メイクは控えめにし、アクセサリーは結婚指輪やパールのネックレスなどが適しています。服装に指定がなく、何を着ていけば良いか迷った場合は、喪服や礼服の着用をおすすめします。
初盆を終えた後のお盆用品の処分方法や保管方法
初盆を終えた後のお盆用品は、どのように片付ければよいのでしょうか。 処分するものと保管しておくものは、区別して管理しなければなりません。ここからは、白提灯をはじめ精霊馬や盆花の処分、そのほかのお盆用品の保管方法について解説します。
初盆用の白提灯を処分する方法
一般的な方法としては、お寺に納めるか送り火で燃やすことです。 白提灯は初盆専用の提灯であり、再利用することはできませんので、処分が必要です。もし、お寺に持っていくことができるのであれば、お寺に納めることが望ましいです。また、一部の地域では、送り火として提灯を燃やす風習がありますので、その方法も選択肢の一つです。 ただし、お寺へ納めることや送り火が難しい場合は、自治体のルールに従ってゴミとして処分することもできます。提灯を塩でお清めし、その後、紙に包んでゴミとして出すことができます。ただし、地域によっては特定のルールや日程がある場合もあるため、自治体の指示に従って処分しましょう。
精霊馬や盆花を処分する方法
まこも(ござ)や精霊馬、盆花などのお盆飾りは、毎年新しいものを用意するため、処分が必要です。 処分方法としては、送り火で燃やすか、白提灯と同様に塩でお清めをしてゴミとして処分することができます。最近では、ちりめんで作られた精霊馬など、毎年使用できるものもありますので、初盆を機に購入しても良いでしょう。
お盆用品を保管する方法
お盆の時期に毎年使用する飾りには、白提灯以外の提灯、盆棚、迎え火・送り火を燃やすほうろく(お皿)などがあります。 これらの品は、ほこりや汚れをきれいに取り除き、購入時に入っていた箱に元の形で入れ直すようにしましょう。提灯は、組み立てた状態から分解して収納します。きちんと保管すれば、何年も使用することができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 初盆というのは、招く側も招かれる側も不慣れなことが多く、何をどうしたら良いのかさっぱり分からないという方も多いのではないでしょうか。 色々と風習やしきたりがあるのは事実ですが、大切なのは故人様を供養する気持ちです。 現世へ戻ってきてくれた故人様やご先祖との時間を大切に過ごせるようにしましょう。