映画「おくりびと」とは?
「おくりびと」は2008年9月13日に公開された日本映画で、滝田洋二郎監督が手掛けた作品です。 本木雅弘が主演を務め、広末涼子、山崎努、余貴美子らが共演しています。 この映画は、遺体を棺に納める「納棺師」という職業を通して、生と死、そして人生の意味を探求するヒューマンドラマです。 「おくりびと」は国内外で高い評価を受け、第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞しました。 これは日本映画史上初の快挙となりました。また、第32回日本アカデミー賞では最優秀作品賞を含む多数の賞を受賞しています。
「おくりびとのお葬式」とは?
「おくりびとのお葬式」はその「納棺師」が葬儀のすべてを担当する国内初にして唯一の葬儀社です。 映画「おくりびと」の技術を活かして、ご遺体のケアから納棺の儀・葬儀までを行います。
「おくりびと」のあらすじ
主人公の小林大悟(本木雅弘)は、プロのチェロ奏者として東京で働いていましたが、楽団の解散により失職します。 故郷の山形県酒田市に戻った大悟は、「旅のお手伝い」という求人広告を見つけ、旅行会社と思って応募します。 しかし、面接で大悟は「NKエージェント」という会社が実際には「納棺」(NouKan)を行う業者であることを知ります。 戸惑いながらも、大悟は納棺師としての仕事を始めることになります。 妻の美香(広末涼子)には仕事の内容を「冠婚葬祭関係」としか言えず、結婚式場での仕事だと勘違いされてしまいます。 大悟は様々な死に直面しながら、徐々に納棺師としての仕事に充実感を見出していきます。 しかし、周囲の偏見や妻の反対に直面し、仕事を辞めようか迷う大悟。 最終的に、納棺の仕事を通じて死と向き合い、生きることの意味を見出していく姿が描かれています。
「おくりびと」の特徴
脚本
『おくりびと』の脚本は、ストーリーがしっかりとした構成で描かれており、細やかな演出が見事です。 主人公の大悟が失業し、思いがけず「納棺師」という仕事を通じて成長していく過程が物語の中心となっています。 サブプロットも巧みに物語に組み込まれており、自然な形で展開していきます。 例えば、主人公だけでなく、彼の上司である佐々木のキャラクターや、納棺を依頼する家族たちの背景が丁寧に描かれることで、物語に奥行きが生まれています。 また、死や儀式という重いテーマを扱いながらも、感傷的になりすぎず、時折ユーモアを交えつつ進むことで、観客に親しみやすさを与えています。
音楽
映画「おくりびと」の音楽は、ジブリ作品や北野武作品の映画音楽を手掛けていることでも著名な久石譲が担当しています。 音楽はこの映画において重要な要素です。 主人公が元チェロ奏者であることから、劇中ではチェロの音楽が効果的に使われています。 特に、自然の中でチェロを演奏するシーンは象徴的で、視覚的にも美しい瞬間です。 チェロの深い音色が、大悟が死と向き合う中で感じる内面的な葛藤や成長をうまく表現しており、映画全体に静かな感情の流れをもたらしています。
題材
『おくりびと』の題材は「死」とそれをめぐる儀式です。 日本文化においては、死に対する儀式が大切にされており、映画では納棺師の仕事を通じて、その尊厳と美しさが丁寧に描かれています。 西洋の死後処理とは異なり、遺族が見守る中で故人を美しく整える納棺の儀式が映し出され、その過程は視覚的にも感情的にも強い印象を与えます。 この儀式を通して、映画は生と死のつながりや、遺族の癒し、そして生きることの意味について深く考えさせる内容になっています。 アメリカのアカデミー賞の外国語映画賞を受賞するなど、国外でも高く評価されました。 また、その他の日本映画の傑作である、黒澤明監督の「生きる」や、伊丹十三監督の「お葬式」とのテーマ性の近さが指摘されています。
「納棺師」とは?
納棺師とは、亡くなった方のお身体をきれいに整え、お棺に納める仕事です。 主に、葬儀における「納棺の儀」を執り行います。 「納棺の儀」とは、故人様の旅立ちの準備を整え、棺に納める儀式で、葬儀の前に行われる、大切な儀式の一つです。 身体を洗い清め、死装束やスーツ、洋服など故人様らしい服装に着せ替えます。 その後、顔や身体には状態を保つための処置を施し、死化粧をします。 宗派にもよりますが、一般的にはご家族と一緒に四十九日の旅支度を付け、ご納棺となります。 最後にドライアイスの処置を施し、副葬品(棺に納めたい愛用品)のご案内をします。 この一連の儀式を執り行うのが「納棺師」です。