大切な人の死は、いつだって急に訪れるものです。 人が亡くなるということは非常に大きなことで、役所や金融機関などのさまざまな手続きが必要になることはもちろん、急なことなので葬儀日程の調整も大変です。 一般的には亡くなった日の翌日・翌々日に早々に営まれる葬儀ですが、基本的に葬儀日程はご遺族と葬儀社の話し合いにより自由に決めることができ、特に制限はありません。しかし、家族が遠くに散らばって住んでいる場合や、故人様が著名であり多くの参列者が予想される場合など、状況によっては葬儀日程をどう決めればいいか迷うこともあるでしょう。 そこで今回は、「葬儀日程をどう決めるか」を主題とし、葬儀の日程を決めるうえで知っておきたいことや注意点、葬儀の流れから六曜との関係までを解説していきます。特に日本では六曜も葬儀日程に大きく関係してきますので、詳しく知っておくとより理想的な葬儀日程を組むのに役立つでしょう。
葬儀の実施にあたり知っておきたいこと
葬儀の日程を決めるにあたっては、色々と知っておくべきことがあります。 まず、何よりも大前提として「葬儀日程は思いのほか自由に決められる」ということは、冒頭でも説明した通りです。世間一般で多数派となっているスケジュールに必ずしも従う必要はありません。そして、葬儀自体の期間や規模も実は1種類ではなく、色々な種類があることも併せて知っておくといいでしょう。そうしたことを知っておくことで、葬儀日程をより確実かつ無理なく決められます。
葬儀には一般葬(二日葬)以外にも沢山の形式がある
葬儀は従来、二日間にわたって行われるのが一般的でした。 一日目に通夜式を行い、二日目に葬儀・告別式を行ったのち火葬場に行き、荼毘に付すというのが最も多数派となる「一般葬(二日葬)」です。しかしこの二日葬は、今ではたくさんある葬儀の形式の1つにすぎません。 葬儀にはそれ以外にも、本来行うべき通夜式を省略し、葬儀・告別式から火葬までを1日で行う「一日葬」や、葬儀・告別式すらも行わず直接火葬場に赴く「直葬(火葬式)」といった形式があります。また、葬儀規模に関しても、参列者を制限しない大規模な「一般葬」に対して、家族親族とごくわずかの親しい知人友人に参列者を絞った小規模な「家族葬」もあります。
亡くなった状況によっては遺族の自由にできない期間を挟むこともある
亡くなった状況によっては、ご遺族が取るべき対応が変わることがあるということも知っておくといいでしょう。 病院や自宅などで、病気や老衰で亡くなられた場合には、病院の医師あるいはかかりつけ医に死亡診断を行ってもらい、死亡診断書を出してもらってから諸々の手続きや遺体の搬送・安置に移ります。 しかし、急死や自死などの理由により自宅で突如亡くなっているのが発見された場合には、警察に連絡をして事件性がないか捜査してもらう期間を挟む必要があります。検視や司法解剖も含めた捜査が終わるまでは、基本的には故人様の遺体の処遇をご遺族の自由にはできません。
葬儀の日程を決める際の注意点
葬儀の日程を決めるにあたって「思いのほか自由に決められる」と書いておいて何ですが、逆に「思いのほか自由には決められない」側面もあります。 自由に決められるのは、あくまでも状況に何も問題がない場合に限られる、ということを認識しておきましょう。人口が多い都市部などでは、さまざまな事情が絡むことで、葬儀までに時間を要する場合が少なからずあるのです。ここでは、葬儀日程を決める際に注意すべきポイントを紹介します。
火葬場が空いていない場合がある
葬儀日程を決めるうえで最も重要になってくるのが、「火葬場の空き状況」です。 日本では基本的に遺体は火葬するものであり、火葬と葬儀・告別式は同日に行うのが最もスムーズですから、まずは火葬場が空いているかを確認する必要があります。葬儀日程は基本的に、「火葬場が空いているか」を基準に日程を決めることになる、といっても過言ではありません。 特に東京などの都市部では火葬場不足が深刻化しており、火葬場の予約待ちで火葬までに一週間以上かかることもありますので、火葬場の予約は早めに確認し、空いていればすぐに抑えるようにしたほうがいいでしょう。
僧侶や親族のスケジュールを調整する必要がある
火葬場の予約を抑えることも重要ですが、同時並行的に関係者のスケジュールを調整することもまた重要になります。 葬儀を取り仕切る喪主や、儀式を執り行う僧侶などの宗教者はもちろん、家族や親族など近親者の参列も必須となるので、それぞれのスケジュールを確認し最適な日程を調整することが必要です。
葬儀実施までの期間に応じた安置費用がかかる
葬儀の日程は基本的に最短日程で行うことが一般的ですが、それには理由があります。 最短で行うのは、葬儀実施までの期間、遺体を安置しておかなければならず、安置にも費用が掛かるからです。火葬場が空いていない場合などでやむを得ず最短で行えない場合には、そのぶんだけ安置費用が嵩むことになります。安置費用よりも葬儀自体の費用や香典返しなどに費用をかけたいのが普通ですから、多くの人が最短日程で葬儀を行うのです。
地域の風習も大きく関係する
葬儀の日程や葬儀の流れには、地域の風習も大きく関係する点に注意が必要です。 たとえば、東北地方の一部地域などでは、死亡当日に「仮通夜」といって、ご遺族や親族のみで通夜を行い、一般の参列者を招く通夜を行わない風習があります。また、北海道の一部地域などでは葬儀・告別式の前に火葬を行うという、全国でも珍しい独特な風習もあるのです。 葬儀はかつて近所総出で行うなど地域と一体となって行われるものでしたから、無用なトラブルを防ぐため地域の風習には従ったほうがいいでしょう。
葬儀全体の流れ
葬儀日程が決まったら、葬儀全体の流れを葬儀社と打ち合わせします。 しかし、独自の風習がある地域を除き、一般的な葬式の流れは変わりません。簡単に箇条書きにすると、葬儀全体流れは以下の通りです。 一日目 ♦遺体搬送(安置) ♦葬儀内容の打ち合わせ ♦納棺の儀 ♦通夜式 ♦通夜振る舞い 二日目 ♦葬儀と告別式 ♦(繰り込み法要) ♦出棺 火葬 ♦お骨上げ ♦(繰り上げ法要) 詳しい内容については以下の記事をご参照ください。
おくりびとのコラム
葬儀の日程と流れを確認!日程決めのポイントや葬儀の所要時間を紹介
葬儀の日取りと六曜の関係
葬儀日程を決める際にはよく「友引の日は避ける」などといわれ、逆に結婚式などの慶事では「仏滅の日は避ける」などといわれます。 この友引や仏滅といった言葉は「六曜」といって、日ごとの吉凶を定めた概念となります。これは仏教など宗教に関係しているわけではなく、あくまでも民間信仰でありいわば占いやゲン担ぎのようなものです。 そのため、六曜と葬儀には本来何の関係もないのですが、日本では古くから縁起を強く意識する文化が根付いていますから、葬儀日程を決める際に六曜を意識する、あるいはせめて頭の片隅に置くぐらいはしたほうがいいかもしれません。 なお、六曜の考えに沿えば、「友引の日は葬儀を避ける」のが原則。しかし、友引の日は火葬場が休みであることが多いので、葬儀と火葬を同日に行うのが一般的な日本では、あまり影響はしないでしょう。ちなみに、友引以外の六曜は葬儀とは特段関係がないため、考慮する必要はありません。
まとめ
以上、葬儀の日取りを決める際に注意するべきことや意識するべきポイントを、六曜との関係も含めて解説しました。 葬儀日程は火葬場の空き状況など外的要因によって制限されることもありますが、そうしたことに問題がない場合には、ご遺族と葬儀社の話し合いによって自由に決めることができます。しかし、葬儀までに時間がかかるほど安置費用が嵩むので、最短の日程で葬儀をあげるのが一般的となっています。 私共「おくりびとのお葬式」では、葬儀の規模を問わず、葬儀の日取り決めから徹底的にご遺族をサポートいたします。葬儀の際にはぜひお気軽にご相談ください。