日本では、亡くなられた故人様の遺体は「火葬」されます。 埋葬方法は他にもありますが、火葬が圧倒的多数派です。 日本では一般的に、火葬をする日に合わせて葬儀日程が組まれるようになっているほか、家族同席のもとで故人様の遺体と最後のお別れをする場所でもあり、火葬は非常に重要な工程といえます。しかし、火葬というもの自体は知っていても、費用相場はどれくらいなのかや、いざという時どのように手続きをするのかはあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、火葬そのものにスポットを当て、そもそも火葬とは何なのか、火葬の費用相場はどれくらいで、どういった手続きが必要なのかといったことを解説していきます。
火葬とは
火葬とは、亡くなられた故人様の遺体を焼き、焼け残った遺骨を葬る形式の葬送を指す言葉です。 日本では現在最も一般的な葬送となっており、火葬以外の手段で葬られることはほぼないといっても過言ではありません。 火葬は仏教用語で「荼毘に付す」ともいい、荼毘はパーリ語というインドの言葉で「燃やす」を意味する単語に由来します。文字通り、専用の火葬炉に故人様の遺体を棺ごと入れ、1~2時間ほどかけて燃やし、骨だけするのです。なお、火葬後、燃え残った遺骨を遺族が箸でつかみ骨壺に入れる「お骨上げ」の儀式が行われます。 日本では、8世紀以降広く浸透した仏教文化の影響によって火葬が浸透したと考えられており、かつては特権階級にある人のみが火葬を行っていました。しかし明治以降「伝染病予防法」によりそれまで庶民が行っていた土葬が禁止されたことで、都市部を中心に火葬が一般にも浸透したのです。
葬儀日程は火葬できる最短の日程で組まれることが多い
火葬は通常、葬儀・告別式の後に行われます。 しかし、いつでも予約が取れるわけではないため、多くは火葬場の空き状況を確認したうえで、火葬の空いている日程に合わせて葬儀日程を決めます。
都市部では火葬場不足が深刻
高齢化社会が進むにつれ、東京都など人が多く住んでいる地域では、火葬場不足が問題となっています。 現在でも東京都では火葬待ちのため、遺体の安置期間が一週間を超えることも珍しくありません。 しかし、年々死者は増加しており、これからいわゆる「多死社会」を迎える関係上、火葬場不足はより深刻になっていくと考えられています。火葬場を増やそうにも、不吉な印象がある火葬場を近所に設けることに対しては近隣住民から反対意見が出やすく、増やすことも難しい状況なのです。
葬儀の前に火葬を行う地域もある
通常は葬儀・告別式を終えたのちにすみやかに火葬が行われますが、地方の風習によって異なる地域もあります。 たとえば、北海道の函館市や釧路市の一部などでは、葬儀・告別式の前に火葬を行い、故人様が遺骨となった状態で葬儀を行う地域もあります。
火葬の費用相場
それでは、火葬にはどのくらいの費用が掛かるのでしょうか。
費用相場は地域によって費用相場が異なる
結論から申し上げますと、火葬費用は地域によって異なるというのが実情です。 たとえば、東京都の特別区(23区)では4万5千円程度かかるのに対し、神奈川県横浜市で1万2千円、大阪府大阪市で1万円といったように、地域により相場が大きく異なります。ちなみにこれは、火葬場が公営の場合です。
火葬場が公営か私営かによっても費用相場が異なる
また、「火葬場が公営か私営か」によっても費用相場は変わります。 基本的には公営のほうが私営よりもはるかに安く、公営の火葬場で地元住民であれば火葬費用が無料という地域も少なくありません。公営と私営の大まかな相場の目安は以下の通りです。 ・公営の火葬場の場合 …無料~5万円程度 ・私営の火葬場の場合 …5万円~10万円程度
公営の場合は住民票登録の有無でも費用が変動する
地域だけでなく「大人か子供か」「地域に住民登録しているかしていないか」など条件別に相場は細かく異なっています。 おおむね、大人と子供では大人が2万円ほど高く設定されているほか、地域住民でないかそうでないかも数万円単位の開きがあります。例として福岡県福岡市では、地元住民であれば2万円、そうでなければ7万円です。
火葬場には公営と私営がある
火葬場は、公営のものと私営のものがあり、公営のほうが費用は安く済むメリットがあります。 ここでは、公営の火葬場と私営の火葬場それぞれの特徴とメリットを見ていきましょう。
公営の火葬場の特徴とメリット
公営の火葬場は、基本的には自治体ごと(市町村単位)に設置運営されていて、民営の火葬場と比べて割安なのが大きな特徴でもありメリットでもあります。 住民登録されている場合は特に割安で、火葬費用が無料のところもあります。
私営の火葬場の特徴とメリット
私営の火葬場は、民間企業が設置運営しています。 公営の火葬場よりも設備が充実しており機能的で、立地も便利なことが多いのがメリットです。グレードによって値段に差があるなど、お金を多く支払うことで納得のいくレベルのサービスが受けられるという点も特徴的となっています。 公営の火葬場に比べると価格が高いですが、東京のように、私営の火葬場が圧倒的に多く公営の火葬場は2か所しかないという地域では、競争率の高い公営の火葬場が取れないことが多いので、私営の火葬場が役立っています。
火葬を行うための手続き
ここからは、火葬を行うための手続きについて簡単にご紹介しましょう。
火葬場での火葬前に火葬許可証を取得する
まず、火葬をする前に「火葬許可証」を取得する必要があります。 これは大前提であり絶対です。 火葬許可証は、故人様が住民票登録をしている自治体の役所で取得できます。取得申請の際、故人様の死亡確認を行った医師から発行される「死亡届」(警察の介入があった場合は「死体検案書」)と「死亡診断書」に加えて、「火葬許可申請書」を提出する必要があります。死亡届と死亡診断書は1枚になっているためそのまま提出できます。火葬許可申請書は役所備え付けの書類があるので、必要事項を記載し届け出ましょう。
火葬場へ火葬許可証を持参し、火葬後「埋葬許可証」を受け取る
火葬許可証は申請後すぐに発行してもらえますが、火葬場の予約は早め早めに並行して行っておくとスムーズでしょう。 なお火葬許可証がないと火葬ができないため、火葬場には必ず火葬許可証を持参し渡すようにしてください。火葬許可証は火葬後、「火葬済み」を示す証印が押され、これが今後の埋葬に必要な「埋葬許可証」を兼ねることになります。大切に保管しておきましょう。 近年では、基本的には火葬許可証の取得手続きに加え、火葬場の手配までを葬儀社が代行してくれることが多いので、不安があれば葬儀社に一任するといいかもしれません。 火葬自体の流れについての詳細は以下の記事を参照ください。
おくりびとのコラム
火葬っていつするの?葬儀日程や火葬の流れを解説します。
まとめ
以上、火葬とはそもそも何か、費用相場や公営・私営の違い、必要な手続きまでを解説しました。 火葬は、故人様をお見送りする最後の場所であり、葬送として非常に重要な工程でもあります。火葬は公営の火葬場を選べば無料で行える可能性もありますので、できる限り公営の火葬場を抑えられれば抑えるようにしましょう。 私共「おくりびとのお葬式」では、大切な故人様の棺に花を添える「おくりびと」としての役目を重視しております。納棺から火葬まで、遺族の皆様を徹底サポートいたしますので、いざという時にはぜひご相談ください。