互助会とは、冠婚葬祭を行う際に必要となるお金の積立ができる制度のことです。 互助会に加入することで、豪華な葬儀を比較的低価格で行うこともできます。 この記事では、互助会の概要やメリット・デメリット、互助会の退会方法などについて解説します。 また、退会に伴いどのくらいの手数料が必要になるのか、払戻金はいつごろ受け取ることができるのか、トラブルが発生した時にはどのように対処すればいいのかといった点も取りあげているため、互助会に加入中で退会を検討している人はぜひ参考にしてください。
互助会とは?
互助会とは、葬儀や結婚式といった冠婚葬祭を行う際に必要となるお金を積み立てておくことのできる制度のことです。 会費を積み立てていくことによって、結婚式や葬儀を行う際の費用に充てることができます。 互助会にもよりますが、毎月少しの掛け金を支払うことで、経済的にも余裕を持って式を行うことができるでしょう。 また、毎月の掛け金を支払っている最中でも掛け金の利用ができます。 ただしこの場合、満期になるまでの残額を支払う必要があるため注意してください。 互助会によっては、冠婚葬祭のプランが豊富に用意されているケースもあるため、納得のいく形で故人様を送り出すこともできます。 また、葬儀の場合、仏式やキリスト教式、神式など、その葬儀形式はさまざまですが、互助会では故人様やご遺族の宗教や宗派に応じた葬儀を実施することも可能です。 互助会は戦後間もない時期の経済が安定してないころに、相互扶助の精神にもとづいて誕生したビジネスです。 互助会サービスの提供にあたっては、経済産業省から許可を受けてなければなりません。 現在では、互助会サービスを提供している会社は、全国各地で200以上にのぼるとされており、冠婚葬祭を行う際の選択肢の一つとなるでしょう。
下記記事でも詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。
おくりびとのコラム
葬儀の「互助会」って利用すべき?仕組みと良い点・悪い点が分かる
葬儀保険との違い
互助会と似たサービスに葬儀保険があります。 葬儀保険も葬儀費用の負担軽減を目的としたサービスですが、互助会とは異なるものです。 具体的には、どのような形でサービスを受けるかという点が全く違います。 互助会は、葬儀などを行う際にお金ではなく斎場などの施設を利用することでサービスを受け取っていますが、葬儀保険は保険料の支払い額に応じて現金を受けることでサービスを享受します。 この点からも互助会と葬儀保険が全く異なることがわかるでしょう。 また、利用者に直接関係ありませんが、互助会は管轄が経済産業省となっており、葬儀保険は金融庁の管轄です。
互助会のメリット
互助会に入会する最大のメリットは、葬儀をはじめとした冠婚葬祭の際の費用を抑えられる点です。 葬儀の規模や内容にもよりますが、1回の葬儀で100万円以上のお金が必要になることは珍しくありません。 そのような時に互助会によって費用の一部をサポートしてもらえれば、万が一の事態が発生した時でも安心できます。 また、互助会はさまざまな施設を提供してくれるため、実際に葬儀を行うことになった時の選択肢が広がります。 中には会員専用の施設を提供しているケースもあります。 互助会によっては、仏壇を購入する際のサポートや旅先やレストランなどでの割引も受けられるなど、葬儀以外の場面でも活用できる点も魅力の一つです。 さらに互助会の中には、加入している本人だけでなくそのご家族もサービスを受けられるケースもあります。 このように、葬儀だけにとどまらずさまざまな場面で恩恵を享受できる点が互助会のメリットです。
互助会のデメリット
メリットの一方でデメリットがあることにも注意しなければなりません。 例えば、互助会はさまざまな施設の提案を行ってくれますが、互助会が提供できる施設が必ずしも利用者のニーズに合致しているとは限りません。 互助会といっても利用できる施設や提案できるプランには限りがあります。 お金をかけずにシンプルなお葬式を行いたい、と考えていても互助会がそういった葬儀に対応していないと実施できません。 近年では、故人様の個性を表現した葬儀にしたいと考える人も少なくありませんが、互助会によってはそういった自由度の高い葬儀に対応していないケースもあるため注意しなければなりません。 そのほかにも、葬儀の実施にあたって追加費用が発生する可能性もあります。 互助会が提供するサービス内容だけでは不十分で、追加費用が発生しトラブルになるケースも少なくありません。 追加費用は数十万円単位になることもあります。 このようなデメリットを回避するためにも、互助会に加入する前には、葬儀を実施する際に追加費用は発生するのか、どのような形の葬儀が行えるのかなど、細かい点を入念にチェックしておきましょう。
互助会以外で葬儀費用を抑える方法は?
互助会は葬儀費用を抑えるために活用できるサービスですが、費用を抑える方法は互助会以外にもたくさんあります。 ここでは、互助会以外の方法で葬儀費用を抑えるためにできることについて解説します。 少しでも費用負担を軽減したいと考えている人はぜひ参考にしてください。
見積書は複数社からもらう
葬儀社を選ぶ際、見積書を作成してもらう人がほとんどだと思いますが、見積書は複数の葬儀社からもらうようにしましょう。 これは葬儀内容が同じでも、葬儀社によって支払い金額や費用項目の内訳に違いがあるためです。 複数社の見積書を確認できれば、各社が提示している費用は適切であるかどうか、不要なサービスや費用項目があるかどうかといったことを比較でき、葬儀社選びがスムーズに行えます。 葬儀社選びのポイントは下記記事をご参考ください。
おくりびとのコラム
葬儀社の選び方|後悔しないポイントを解説します。
公営施設を利用する
葬儀の際に利用する斎場や火葬場には、民間企業が運営する民営のものと自治体が運営する公営のものがありますが、費用を抑えるのであれば公営施設を利用しましょう。 これは、一般的に公営施設は民営施設よりも利用料金が安く設定されているためです。 施設や葬儀の規模にもよりますが、公営施設であれば10万円程度からの利用が可能です。 ただし、公営施設は人気が高いため、必ずしも希望する日時に予約が取れるわけではありません。 また、施設の老朽化が進み、民営施設と比べると設備が劣ることもあります。 公営施設に興味のある人は、一度葬儀社に相談してみるといいでしょう。
参列者を少なくする
葬儀への参列者を少なくできれば、斎場の規模も小さくなり、提供する料理や返礼品も少なくできるため費用を抑えることができます。 実際に、近年では家族葬のように参列者を少なくして葬儀を行うケースも増えています。 ただし、参列者が少なくなると香典も少なくなります。香典を葬儀費用に充てようと考えている場合は注意してください。 また、参列者を少なくすると、「誰を呼ぶのか」ということが問題になります。 葬儀が終わってから参列できなかった人から不満が出てくる可能性もあるため、よく検討したうえで参列者を選ぶ必要があります。
無宗教葬にする
無宗教葬とは、宗教や宗派にもとづいた儀式を行わない葬儀のことです。 ルールや伝統に縛られることのない自由度の高さが特徴で、故人様の個性を反映した葬儀になることもあります。 無宗教葬にすることで、僧侶による読経や戒名の授与がなくなるため、お布施を渡す必要がありません。 お布施は宗教にもよりますが、数十万円単位となることも珍しくないため、無宗教葬にすることで費用負担を大幅に抑えることができます。 ただし、付き合いのある菩提寺がある場合は、事前に伝え理解してもらったうえで実施しましょう。 無断で無宗教葬を行うとのちのちのトラブルにつながる可能性があります。
祭壇を使わない
葬儀では祭壇を使用するイメージを持っている人もいるかもしれませんが、祭壇なしでも問題ありません。 祭壇は規模によって金額が異なりますが、祭壇無しにすることで数十万円単位の費用を浮かせることができます。 また、祭壇を使用する場合でも、花を生花から造花に変更する※などで費用を抑えられます。 ※葬儀社によっては造花祭壇に対応していない場合がありますのでご注意ください。
会食なしにする
通夜の後の通夜振る舞いや火葬後の精進落としなど葬儀ではさまざまな会食を行いますが、会食を行わないことで会食費が不要となるため費用を抑えられます。 特に家族葬などの規模の小さい葬儀の場合、会食を設けないケースがよく見られます。
補助金制度を活用する
自治体によっては、葬祭費の補助金制度、給付金制度を設けているケースもあります。 自治体によって支給される金額に違いはありますが、数万円の葬祭費を受けることができます。 まずはお住いの自治体に補助金制度、給金制度があるのかどうかをチェックしてみましょう。
葬儀保険を活用する
先ほども触れていますが、費用負担を抑えるために葬儀保険を活用することもできます。 葬儀保険は、自分が死亡した際に支払われる保険金を自身の葬儀に充てるために加入する保険のことです。 葬儀保険は保険金を葬儀に充てるための保険であるため、高齢者でも加入しやすい点が特徴です。 また、毎月支払う保険料も比較的割安となっています。
ここまで紹介してきたように、葬儀費用の負担を軽減する方法は互助会以外にもさまざまなものがあります。 いざという時に備えるためにも、ここで取り上げた内容をぜひ役立ててください。 おくりびとのお葬式では、お式をせずに価格を抑えられる「火葬式プラン」をご用意しております。
互助会の退会はできるの?
互助会に加入したものの、さまざまな理由から退会したいと考えている人もいるのではないでしょうか。 互助会は利用者が希望すれば退会することができます。 毎月の支払いが難しい、葬儀の規模を抑えるためまとまった費用を用意する必要がなくなったなど、さまざまな事情で退会するケースは珍しくありません。 ただし、退会にあたっては一定の手続きを踏まなければなりません。 また、退会手数料が高額になるケースもあるため注意してください。
互助会を退会するメリットとデメリット
互助会を退会することでさまざまなメリットが得られます。 一方で、デメリットにも注意しなければなりません。 ここでは互助会を退会するメリットとデメリットについて解説します。
メリット
まずは退会するメリットを紹介します。 主なメリットとしては毎月の費用負担がなくなることや互助会が破綻する際のリスクがなくなること、葬儀の自由度が高まることなどがあげられます。 それぞれについて確認していきましょう。
♦費用負担がなくなる 互助会に加入すると、毎月一定の金額を掛け金として支払う必要があります。 互助会によって支払う金額は異なり、1ヶ月数千円程度が相場だと考えてください。 「数千円程度ならそこまで大きな負担ではない」と考える人もいるかもしれませんが、1年で数万円、2、3年で10万円以上になることを考えると決して小さな金額ではありません。 このような費用負担がなくなる点は、互助会を退会するメリットだといえるでしょう。 ♦互助会が破綻するリスクがなくなる 互助会は民間企業が提供するサービスであるため、経営がうまくいかなければ破綻する可能性があります。 破綻すると冠婚葬祭の各種サービスが利用できず、積立金も一部しか返還されません。 一方で、退会すれば当然ながら破綻のリスクはなくなります。 ♦葬儀の自由度が高まる 互助会の場合、利用できるサービス内容に限りがあるため、必ずしも自分たちが希望する形で葬儀ができるわけではありません。 一方で、互助会を退会すれば、自分たちのニーズを満たしてくれる葬儀社を選ぶことができるため、葬儀の自由度が高くなります。 故人様を気持ちよく送り出すためにも、葬儀の形式や内容にこだわるケースは決して珍しくありません。 互助会を退会することが、結果的に理想とする葬儀の実現につながることもあります。
デメリット
メリットの一方でデメリットも少なからず存在します。 具体的には、葬儀費用の負担が大きくなることや設備が整っている施設を利用できないこと、さまざまな優待が受けられないことなどです。 ここではそれぞれのデメリットについて解説します。
♦費用負担が大きくなる 互助会は毎月一定のお金を支払うことで、冠婚葬祭の際にさまざまなサービスを受けることができます。 そして基本的には、積立金として支払った金額以上のサービスが受けられる仕組みです。 そのため、互助会で実施する葬儀と同じレベルの葬儀を行うとなると費用負担が大きくなってしまいます。 また、身内の急な不幸により突然高額な費用負担を強いられる可能性はゼロではありません。 互助会に加入していれば、そのような時の費用負担を抑えることができますが、退会すると負担が大きくなります。 ♦設備が整っている施設を利用できない 互助会が提供する会館や斎場は、設備面が充実しているケースが一般的です。 そのため、互助会を退会するとこのような施設を利用できなくなります。 あるいは、利用するにしても互助会にいるときよりも高額な費用を支払う必要があるでしょう。 互助会の提供するサービスやプラン、施設に納得できれば、豪華な葬儀を費用負担を抑えて行うことができますが、退会すると難しくなります。 ♦さまざまな優待が受けられない 互助会は葬儀だけでなく結婚式やホテル、レストラン、レジャーなどさまざまな面での優待が用意されています。 退会してしまうと、当然ながらこれらの優待も利用できなくなります。 そのため、退会を検討している人は、葬儀だけでなくそのほかのサービスも踏まえてトータルで検討することが大切です。
互助会の退会の方法
ここでは互助会の退会方法について解説します。 退会にはどのくらいの費用がかかるのか、積立金はどのくらい返還されるのか、退会までにかかる期間はどのくらいなのか、といった点を取り上げているためぜひ参考にしてください。
解約費用は必要?
互助会を退会する場合、退会自体は自由に行うことができますが、解約手数料が必要です。 互助会は積立貯金ではないため、サービスを受けずに退会する場合、これまで支払ってきた金額の15〜20%程度が手数料となります。 具体的な手数料は互助会によっても異なるため、詳しくは各互助会の規約を確認しておくとよいでしょう。
返還額はどれくらい?
これまで支払った金額から解約手数料を除いた金額が返還されます。 解約手数料が発生するため、全額返還となることはありません。 そのため「思っていたよりも返還額が少ない」となる人も出てくるでしょう。 また、支払い回数によってはそもそも払戻金がないケースもあり、そこからトラブルに発展することも珍しくありません。 具体的にどのくらいの金額が戻ってくるのかは必ず各互助会に確認してください。
かかる時間は?
互助会の退会自体は、一定の手続きを行えばできるため決して難しくありません。 しかし、返金までに時間がかかる可能性があります。 互助会に対しては、45日以内の返金が義務付けられているため、退会の手続きをしてから1ヶ月以上待たなければならないこともあるでしょう。 一方で、経済産業省では30日以内、可能であれば15日以内の返金を推奨しているため、比較的早い段階で返金されることもあります。
必要なもの
互助会の退会にあたっては、一般的に以下のようなものが必要となります。 ♦互助会の会員証 ♦解約申し込み書類 ♦払戻金の振込先を記入した用紙 ♦本人確認書類 など 必要なものは互助会によって異なります。詳しくは各互助会に確認してください。
具体的な退会方法
互助会の退会は、まず加入者本人が互助会に連絡したうえで、解約したい旨を伝えます。 その後互助会から解約書類が郵送されるため、書類の作成を行って申請し、申請が受理されると退会となります。 退会手続きは郵送だけでなく、互助会の窓口に直接出向いて行うことも可能です。 退会手続き後に払戻金が口座に振り込まれたら全ての手続きが完了します。
解約は代理人でも可能
互助会の解約は、加入者本人以外にも家族などの代理人が手続きすることも可能です。 代理人が手続きをする場合も基本的な手順は変わりありませんが、委任状が必要となるため注意してください。 また、払戻金の振込先は代理人の口座ではなく加入者本人の口座が対象となります。 加入者がすでに亡くなっている、もしくは病気や怪我などで自分で退会手続きができない場合は、加入者の除籍謄本や代理人の戸籍謄本などが求められることもあります。
お得に互助会を退会する方法
互助会を少しでもお得に退会するためには、加入する前の段階でしっかりと毎月の支払い金額を確認することが大切です。 無理なく支払い続けられれば、退会時に解約手数料として一部積立金を支払うこととなっても大きく損をすることはないでしょう。 また、互助会のサービス内容を確認することも大切です。 「あんなに支払ったのにこのサービスなの?」「解約手数料がこんなにかかるとは思わなかった」といったことに後になってから気づくケースは珍しくありません。 予想外のトラブルが起こると「損をした」と思ってしまうため、事前にしっかりと確認しておきましょう。 また、一部の互助会を行っていない家族葬向けの葬儀社などでは解約手数料分の金額を実際の葬儀代金から割引するなどして、利用者の負担を軽減してくれる制度もあるようです。 もしも互助会を利用しない場合であれば実際に依頼する葬儀社に確認をするとよいでしょう。
トラブルが発生した時の対処法
互助会を退会する際にトラブルが生じるケースは少なくありません。 トラブルの例としては、退会手続きになかなか応じてくれない、解約手数料が高いといったものが挙げられます。 このようなトラブルが発生した場合、まずは契約書や規約を確認しましょう。 互助会側の対応がルールにのっとったものであるかどうか確認し、ルール違反であればその点を踏まえて再度交渉します。 また、トラブルがなかなか解決しないときは互助会を管轄している経済産業省の窓口に相談することも1つの方法です。 そのほかにも国民生活センターや消費者センターなどへ相談することもできます。 トラブルによっては、自分1人ではどうしようもできないケースもあります。 そのようなときは各窓口へ相談するようにしましょう。
まとめ
今回は、互助会の概要やメリット・デメリット、退会方法などについて解説しました。 互助会とは、葬儀や結婚式などの冠婚葬祭を行う際に必要となるお金を積み立てておくことのできる組織のことです。 互助会が提供する施設は設備が優れているものも多いため、豪華な葬儀を比較的低価格で実施することもできるでしょう。 一方で、互助会を通して利用できるプランには限りがあるため、ニーズに沿った葬儀ができない可能性もあります。 互助会の退会はいつでも可能です。 手続き自体は簡単ですが、払戻金の振込みまでに時間がかかることもあるため、退会を検討している人、払戻金が早めに必要な人は早めに手続きを進めることをおすすめします。 互助会の退会を検討している人は、ぜひ今回の内容を参考にしてください。