葬儀はいつ参列する時が来るかわからないものです。 その為いざ葬儀に参列することになった時、あるいは遺族として取り仕切ることになった時に、そう都合よく自分の状態が整っているとは限りません。特に普段髪の毛のカラーリングをしていたり、パーマをかけていたりする方は、「葬儀にふさわしくないのではないか」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、葬儀の際にふさわしい髪型や身だしなみについて解説していきます。カラーリングやパーマなどをしている場合はどうすればいいのかも含めて解説しますので、仕事の関係や趣味で普段派手な外見を維持している人は特に参考にしてみてください。
葬儀にふさわしい髪型・髪色とは
葬儀にふさわしい髪型は、男女ともに「清潔感のある髪型」を意識することが大切です。 清潔感のある髪型とは、たとえば男性の場合は、長髪や長い前髪は好まれず、短髪で前髪は流すか切るかして目にかからないようにし、襟足も短く切り揃えられている髪型を指します。女性の場合は、耳より下の位置で、かつ肩に髪の毛がかからないようにまとめる髪型(お団子など)が無難です。男女ともに、パーマやカールなどの変形はないのが理想です。(天然パーマや、外国人で毛質の関係でパーマや編み込み等を維持しなければならない場合を除く) ちなみに、男性の場合はジェルやヘアワックスで光沢が出るほどガチガチにセットするのはマナー違反とされています。整髪料は寝ぐせによるハネやふくらみを矯正する程度に使いましょう。女性の場合は、髪をまとめる際に派手な髪飾りは使用しないようにし、ショートボブのようにまとめられない髪型の場合はピンを使ってとめるか、耳に髪をかけるといいでしょう。 そして、葬儀にふさわしい髪色は、日本人の場合は男性女性共に黒髪がベストです。しかし近年では髪色は比較的染まっていても許容される場合が多く、茶髪やダークブラウン程度であれば特にマナー違反ではないといわれています。ただし、近年若年層に多いハイブリーチや原色カラーのような派手な髪色は男女ともにNGです。
カラーリングやパーマをしている場合は?
それでは、カラーリングやパーマをしている場合はどうすればいいのでしょうか。 葬儀はいつ参列することになるかわかりませんが、かといって、常日頃から葬儀を意識して髪型を常に清潔に整えているわけにもいきません。ですが、派手な髪型髪色は葬儀ではNGとされていますので、葬儀に参列する際には、以下のような対処を行いましょう。
◆派手な髪色の場合は染め直すのがベスト
特に原色カラーなど派手過ぎる髪色の場合は、葬儀に参列することになった時点で美容院に行くか、ブラックスプレーを使って、応急処置的にでも黒色に染め直すのがベストです。 ただし、黒く染め直すと再び色を抜くのが困難になり染まりにくくなるので、派手な髪色を維持したい方はブラックスプレーなど一時期的な処置をおすすめします。 ブラックスプレーはバラエティショップやドラッグストアなどで販売されています。ただ、葬儀会場が田舎である場合はそうした店がないこともあるので、ある程度便利な都市圏の実店舗で調達しておきましょう。 葬儀は急なものですから、インターネット通販では間に合わない可能性が高いです。 インナーカラーや毛先のみ派手にしている場合であれば、女性であれば髪のまとめ方次第で隠せる場合もあります。ただし、どうしても派手な色の部分が露出する場合は、スプレーで黒くしておきましょう。
◆パーマはなるべくまとめる
パーマなど急な対応が難しい髪型の場合は、なるべく髪を結んでまとめることをおすすめします。 黒いヘアゴムでなるべく後ろで1つにまとめると、パーマをかけていても比較的落ち着いた印象になるでしょう。また、美容院でも葬儀に参列する旨を伝えれば、なるべく葬儀にふさわしい落ち着いた髪型になるよう工夫してセットしてくれる場合もありますので、もしもの時は相談してみるといいかもしれません。後ろに結んでもボリューム感が出てしまう場合は、頭の上で小さめのお団子にするのも一つの方法です。
葬儀にふさわしいメイクや服装とは
葬儀の主役は、故人様です。 そのため、参列者である場合は特に、メイクや服装について気を遣う必要があります。 葬儀の場においては、例えば、メイクに関して言えば「片化粧」というマナーがあります。片化粧とは、喪服を着用する際のメイクスタイルを意味する言葉で、全体的に薄化粧で、かつ口紅を引かないメイクを指します。眉毛や目元、唇のメイクは元の肌の色を意識して最小限にとどめ、全体的に色物のコスメは使わず、華美な印象を与えないよう注意しましょう。無論、つけまつげやグロスなど派手な印象を与えるコスメはNGです。 なお、カラーコンタクトレンズはなるべく使用しないのがベストですが、もし視力矯正目的で使用する場合は黒か茶色のものを選ぶことをおすすめします。 葬儀にふさわしい服装に関しては、遺族や喪主と参列者で違いがあります。 遺族であり喪主の場合は、男性の洋装ならブラックモーニングコート、女性の洋装ならブラックフォーマルドレス、和装なら男女共に用いる黒無地染め抜き五つ紋付きの着物といったように、正式な喪服を着用できます。 しかし、参列者は、遺族より格式の高い喪服は避けるべきとされていますので、準喪服であるブラックスーツに白無地のワイシャツが無難です。女性では、アンサンブルでもワンピースでも構いませんが、ブラックフォーマル+黒いパンプスを意識しましょう。
葬式の際の服装については以下の記事も参照ください。
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【お通夜・お葬式のマナー】服装や挨拶の仕方など、お葬式に関するマナーをご紹介いたします。
葬儀の身だしなみで気を付けるべきこと
以上のように、葬儀は故人様との最後のお別れの場であり、最大限の敬意と弔意を示すためにも、メイクや髪型髪色、服装についてはしっかりとマナーを守らなければなりません。 また、上記に挙げた以外にも、葬儀の際の身だしなみには注意点があります。 たとえば、女性のアクセサリーについては、基本的には結婚指輪以外は外すのが正式ではありますが、葬儀においては「涙の粒」を象徴する真珠と、黒曜石などは身につけていいとされています。しかし、そうした真珠や黒曜石のアクセサリーでも、2連のネックレスなど不幸の連鎖を思わせるデザインのものはNGとなります。 なお、女性の場合盲点となりがちですが、ネイルはしないようにしましょう。また、男性がブラックスプレーで髪を黒染めする場合、暑い季節だと汗が黒くなって白ワイシャツの襟に黒色が付着する可能性もあります。暑い季節での葬儀で、汗っかきの場合は、一週間だけ黒く染まる染料を使うか、美容院で黒染めにすることも検討しましょう。 葬儀の身だしなみやマナーについては以下の記事も参照ください。
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まとめ
以上、葬儀にふさわしい髪型や髪色、身だしなみについて解説しました。 髪型や髪色はその人の個性ではありますが、葬儀という儀礼の場ではまだまだ派手で華美なものは避けるべきというのが最低限のマナーとなっています。地毛や毛質が特殊で事情があるというのでもなければ、純日本人は黒髪ストレートがベスト、許されるのはダークブラウン程度というのが一般的です。 葬儀でのマナー違反は、故人様への侮辱ともとられる場合があります。そのため、葬儀の際の身だしなみについては、遺族も参列者も、特に気を付けましょう。