「終活」という言葉が世の中に広く認知されてから、長い時間が経ちました。ただ、「終活」という言葉がよく知られるようになっても、「結局のところ、何をすればいいの?」「お金がかかりそう……」と二の足を踏む人も多いはずです。 ここでは、「そもそも終活では何をするのか」「それぞれにかかる費用はどれくらいか」「終活をする際に気を付けるべきことは何なのか」を取り上げてお話していきます。
終活は何をする?
終活とは、ごく簡単に言うのであれば「自分が旅立った後に、残された人が困らないようにするための準備」だといえます。 ただ、「終活」という言葉は非常に多くの行動を内包した言葉です。 終活ですべきことは主に ♦今ある財産を整理する ♦葬儀について考えておく(場合によっては実行する) ♦お墓について考えておく(場合によっては実行する) ♦物を整理する などが挙げられます。 なおこれ以外にも本人にしかできないこととして、 ♦自分が旅立ったときの連絡先を記しておく ♦今までの感謝の言葉を書き留めておく ♦終末期医療の希望を伝えておく などが挙げられます。 ただ上の2つは基本的には費用ゼロでできるものですし、終末期医療に関しては保険の問題なども絡んでくるため自分1人で決定するのは困難です。 そのためここでは主に「費用がかかることで、かつ自分の采配でできること」である4項目にかかる費用について解説していきます。
それぞれににかかる費用
「終活にかかる費用はいくらか?」の話は、非常に算出しにくいものです。なぜなら、「どこまでやるか」によって金額は大きく変わってくるからです。 ここではいくつかの段階に分けて、「かかる費用」を解説していきます。
今ある財産を整理する
レベル1:エンディングノートに記しておく……200円程度(エンディングノート購入費用)。「この宝石はこの人に、土地の権利書はここにある」などのように書き記すだけで終わるのであれば、費用はほとんどかかりません。ただエンディングノートは法的な拘束力はありませんから、これはあくまで「希望を伝えるだけ」で終わります。 レベル2:遺言書を作成する……0円~30万円。遺言書は自分で作ることもできますし、専門職に頼むこともできます。自分で作る場合はかかる費用はゼロですが、この場合は不備があると遺言書が無効になることもあります。このため、基本的には弁護士などに助けてもらいながら作った方がよいでしょう。 レベル3:土地などを自分で処分しておく……多くの場合十数万~場合によっては数百万円。「不要な不動産などを処分してしまう」というやり方です。お金は非常にかかりますし、手間もかかります。しかしすべてを現金化しておけば、相続する人の苦労は格段に軽減します。
葬儀について考えておく(場合によっては実行する)
レベル1:エンディングノートに記しておく……200円程度。「こういう葬儀をしたい」「ここの葬儀会社にお願いしたい」と希望を書いておくだけにするのであれば、費用はほとんどかかりません。 レベル2:葬儀会社の会員になっておく……10,000円程度。現在は多くの葬儀会社が「会員制」をとっています。事前に会員になっておくと、お見舞金が出たり割引が利いたりするようになります。葬儀会社によって費用は異なりますが、おおむね10,000円程度であることが多いかと思われます。また、互助会に入っておくのもひとつの方法です。 レベル3:生前契約をしておく……プランによるが、10万円~300万円程度。日本ではあまりみられない形式ですが、事前に葬儀会社と生前契約をして前払いするのもひとつの手です。この場合、葬儀会社の選定は慎重に行いましょう。
お墓について考えておく(場合によっては実行する)
レベル1:エンディングノートに記しておく……200円程度。「こういう墓がよい」などの希望を伝えておくやり方です。なお、「先祖代々のお墓に入れて」という場合は、そのお墓の住所などを記しておくと残された人が困りません。 レベル2:樹木葬霊園などを手配しておく……30万円~100万円程度。墓石を必要としない樹木葬霊園などを手配し、生前に支払いまでを済ませておく方法です。 レベル3:墓地と墓石を購入……50万円~200万円程度。「墓地の使用権を手に入れ、墓石を購入しておく」という方法です。なお、これらの祭祀財産を生前に購入しておくと、相続税対策になります。
物を整理する
レベル1:自分で少しずつ処分する……0円~3,000円程度?市町村の定めによって、少しずつ持ち物をゴミに出して処分していく方法です。 レベル2:業者に依頼する……数万円~数十万円。遺品・生前整理の業者に頼むやり方です。これは業者ごとに費用が大きく変わるので、必ず確認してください。またその際には、「一般廃棄物運搬許可」を持っている業者を選びましょう。
終活をする際に気を付けるべきこと
終活で気を付けるべき点としては、上でも述べている通り、「エンディングノートには法的拘束力はない」という点です。どれほど詳細に記載していても、エンディングノートは「遺言書」ではありません。そのため、ここに希望を書いていたとしても、それが無視されることもあります。 また、専門家や業者にお願いして終活を進めて行く場合は、必ず相見積もりをとるようにします。その事務所・事業者がきちんとした資格を持っているかどうかを確認することも必要です。 なお終活は、「最後のときを考えて行う旅支度」です。そのため、周りの人から「縁起でもない!」と反対されるケースもあるかもしれません。そのような場合は強行せず、まずはしっかりと話し合うことが重要です。
まとめ
「終活にどれくらいの費用がかかるか」は、「終活をどれくらいまで行うか」によって大きく変わってきます。エンディングノートに書き記すくらいならばほとんど費用はかかりませんが、専門家や事業者の手を借りるのであれば費用は大きくなります。 このあたりをよく理解したうえで、「終活のための予算」を組んでいきたいものですね。