葬儀に限らず、冠婚葬祭や催事において、受付で名前や住所を記入したことがあるという方も多いでしょう。 その際に記入したノートのようなものの名前をご存知でしょうか。「芳名帳(ほうめいちょう)」といいます。 特に葬儀においては、芳名帳は縦書きのものが用意されます。書き方が事前に説明されるということもなく、ただでさえ若い世代には不慣れな縦書きの形式であるため、人によっては書き方についてよくわからず困ってしまうこともあるかもしれません。 そこで今回は、芳名帳の定義や書き方のルールやマナーについて、個人ではなく夫婦や会社名義で書く場合も含めて解説していきます。また、芳名帳の記入のテンプレートもご用意しますので、初めて芳名帳に名前等を書く機会が迫っているという方もどうぞご安心ください。
葬儀における芳名帳とは?
葬儀における芳名帳は、主に葬儀に参列してくれた方の名前と住所を把握するために用意されます。 四十九日法要などのちの法要のご案内や、香典をいただいた方へのお礼(香典返し等)を贈る際にも使われます。 また、香典を誰からいくらいただいたのかを明確に管理する目的でも用いられます。葬儀の中でも特に大勢の参列者が予想される一般葬の場合、参列者が多くなりとても自力では把握しきれませんから、芳名帳が欠かせません。 「芳名」というのは「名前」を敬って使う言葉で、相手の名前をいただく用途から、尊敬の意味を込めて芳名帳と名付けられています。
葬儀の芳名帳の書き方・ルール・マナー
芳名帳にはいろいろなタイプがあり、特に慶事ではカード形式でカード1枚1枚に記入して名札代わりにもするなど、形式が自由になる傾向があります。 しかし、葬儀では昔ながらの形式のもの、縦書きのノート型の芳名帳が用いられることが多いです。ここでは、そうした昔ながらの芳名帳の書き方・ルール・マナーを簡単に紹介します。
芳名帳の基本的な書き方
まず、葬儀の際の芳名帳に書く内容ですが、「氏名」「住所」は全員が書きます。 書く人の立場によって書く内容が追加されることもありますが、基本は「芳名帳は氏名と住所を書くものだ」と覚えておいて間違いありません。 葬儀の芳名帳は、罫線が縦向きに引かれ区切られているものが一般的で、基本的には縦書きで書きます。縦書きなので、番地など住所上の数字は漢数字で書き、ゼロは〇で表現します。 氏名と住所のどちらを先に書くかはその時々で異なりますが、大体は住所→氏名の順番が一般的です。受付にボールペンや鉛筆、筆ペンなどが用意されていることが多いので、自身で筆記用具を持参する必要はありません。
芳名帳を書く際のマナー
芳名帳を書く際には、できる限りはっきりと読みやすい字で書くと、のちの事務処理がスムーズにいきます。 なるべく楷書体でわかりやすく書くことを心がけるのがマナーです。 葬儀の芳名帳は、葬儀の受付に設置されています。芳名帳を書くタイミングは受付より名前と住所を書くよううながされてからとなりますが、その前に簡単な挨拶を済ませましょう。 たとえば、日本で最も一般的な仏式の葬儀の場合は、まずは受付の方にお悔やみの言葉を一言伝えるのがマナーです。「この度はお悔やみ申し上げます」「この度はご愁傷様です」など簡単で結構なので、お悔やみの気持ちを伝えましょう。 なお、キリスト教の思想では死は不幸ではないため、キリスト教式の葬儀の場合はお悔みの言葉は不要です。
葬儀の芳名帳、夫婦や会社の場合はどのように書く?
芳名帳は、どういう立場で参列するかによって書く内容が異なる点に注意が必要です。 個人(故人様の知人・友人等)として参列する場合には「住所」「氏名」のみを書けば大丈夫なのですが、たとえば夫婦連名で参列する場合や、会社代表として参列する場合には個人での参列と違い別の書き方をしなければなりません。 夫婦連名の場合は、基本的には両方それぞれの住所氏名を隣り合わせに記載することが求められますので、まず片方の住所と氏名を先に書きます。夫でも妻でも構いませんが、片方の住所氏名の隣に、もう片方の住所と氏名を書きます。 住所を同一にしている場合には、「〃」と書いて住所を省略し、氏名の位置を揃えて書きます。夫婦の場合姓は同じになるので住所と同じく「〃」で省略してもいいでしょう。子供と一緒に参列する場合も同様の流れで家族全員分を記名していきます。 一方「故人様とビジネス上の付き合いがあった仕事関係者」や「故人様の会社の代表者」「取引先の会社の代表者」といった形で参列する場合には、自身の住所氏名を書く前に「勤め先の正式名称」と「事業所の所在地」「部署名」を書き添えます。 特に代表として出席する場合には、所在地の後に「代表」とつけるとスムーズです。 なお、会社関係者や配偶者等の代理として出席する場合には、受付に代理で来ている旨をはっきり伝えてから、自分に代理を依頼した人の必要情報を書き、必要情報を記入した左隣に「代理」と書き添えます。
葬儀の芳名帳のテンプレート
葬儀の芳名帳の書き方を詳しく紹介しました。最後に、葬儀の芳名帳はどんな感じに書くのか、テンプレートとして例文を記載します。 それぞれ、シチュエーション別にテンプレートを載せますので、状況にあったテンプレートを活用してください。
故人様の個人的な友人である場合
東京都練馬区石神井台〇-×-× 石神井レジデンス一〇三四号室 田中一郎
故人様の友人で、夫婦と子供2人で参列している場合
東京都北区赤羽〇-×-× 山田隆 〃 〃 光江 〃 〃 太郎 〃 〃 響
故人様と業務委託契約をしていた会社の代表として参列している場合
東京都千代田区神田〇-×-× 株式会社□□出版 〇〇出版部 代表 東京都板橋区大山〇-×-× 山本太一
会社の上司の代理として参列している場合
東京都文京区音羽〇-×-× 株式会社△△電工 営業部部長 佐藤隆 代理
まとめ
以上、葬儀の芳名帳の書き方・ルール・マナーについて解説しました。 芳名帳は基本的には住所と氏名を書けばよいものですが、どういう立場で参列するかによって細かく書き方が変わる側面もあって、意外と奥深かったのではないでしょうか。 私共「おくりびとのお葬式」では、このように葬儀にまつわる様々なルールやマナーについてコラムを掲載しております。初めて葬儀に参列する方など、不安なことや知らないことがある方は、ほかの記事もぜひご覧ください。